2020年(令和2年) 7月15日(水)付紙面より
ツイート
自然災害に伴う大規模停電発生に備え、酒田市は13日、日産自動車(横浜市西区、内田誠社長)、山形日産自動車販売(鶴岡市、小関眞一社長)と「災害連携協定」を締結した。大規模停電発生時、酒田市は両社から電力源として活用できる電気自動車(EV)「日産リーフ」3台などの無償貸与を受けて避難所などに配備、応急的な電気供給を行う。
2011年に発生した東日本大震災を受け同市は今年3月、今後想定される大規模自然災害から市民の命と財産を守り持続的な成長を実現するため、「致命的な被害を負わない強さ」と「速やかに回復するしなやかさ」を兼ね備えた「強靭な国土づくり」を推進することを目的にした「国土強靭化地域計画」を策定。計画の中で、EVの特性を生かした地域防災力向上を目指している。
一方、日産自動車は環境への負荷低減、災害対策などの課題解決に向け18年5月、EV普及を通じた社会の変革を積極的に進めようと、▽ゼロ・エミッション(排出ガスゼロ化)▽ゼロ・フェイタリティ(死亡・重傷事故ゼロ化)―の2つを柱とする日本電動化アクション「ブルースイッチ」をスタートさせている。
今回の協定では、大規模停電発生時にEV3台と給電装置を無償貸与、酒田市が開設する避難所の円滑な運営に協力していく。日産自動車広報によると、最新の「日産リーフe+」のバッテリー容量は62キロワット時で「満タン」の場合、平均的な一般家庭の4日分の電力を賄うという。同社はこれまで全国44自治体と同様の協定を結んでおり、酒田が45件目。地元ディーラーも加わって3者で締結するのは東北地方で初という。
締結式は市庁舎内で行われ、丸山至市長と山形日産の佐藤詩郎専務取締役営業本部長、日産自動車北日本リージョナルセールスオフィスの佐竹伸一部長が協定書を交わした。
丸山市長は「地元の山形日産だけでなく、日産自動車からも加わってもらい心強い。支援に感謝。これまでに以上に関わりを太くし、住みよい地域づくりに協働で取り組みたい」、佐藤専務が「安全、安心、快適な移動手段としてだけでなく、災害時に力を発揮する『動く蓄電池』。地元企業として有事の際には役に立ちたい」、佐竹部長が「EVの普及を通して皆さんの役に立ちたい」とあいさつした。
その後、隣接する希望ホール前に場所を移してデモンストレーションが行われ、「日産リーフ」を電力源として給電装置をつなぎ、消費電力の高い電子レンジや電気ケルトなどを作動させた。