2020年(令和2年) 7月26日(日)付紙面より
ツイート
庄内浜で漁獲されるタイを使った「鯛ラーメン」のお披露目会が23日、鶴岡市由良で行われた。由良の女性たちが商品化した粉末の「小鯛だし」を練り込んだ麺、新鮮な天然のマダイの頭などを煮込んで取ったスープと、庄内浜にこだわった新たな「ご当地ラーメン」。試食した関係者からは「タイのうま味があり、おいしい」と好評で、庄内地域をはじめ県内のラーメン店などへの普及を目指す。
日本財団(東京)が全国展開している「海と日本プロジェクト」の一つで、食を通じて海の問題を考えるキャンペーン「トトタベローネ」の一環で開発された。本年度は全国4地域で繰り広げられる。庄内浜では同市の由良地域協議会「ゆらまちっく戦略会議」(齋藤勝三会長)と、食関連のコンサルティング「まんまーる」(松本典子社長)などが実行委員会をつくり、地域の食文化を残そうと、消費が少なくなってきているタイにスポットを当て、子どもたちにも喜ばれるラーメンの開発を進めた。
お披露目された新作の鯛ラーメンは、加茂水族館・魚匠ダイニング沖海月(おきみづき)の須田剛史料理長が手掛けた。小鯛だしを使った麺は同市の松田製麺所、タイの身を使ったかまぼこは滝川蒲鉾店が担当。スープに工夫を凝らし完成した。トッピングには在来作物の温海かぶのおろしを用意し、スダチを搾ってかけると白いおろしがピンク色に変化。ラーメンがさっぱりとした味わいになる。
試食した関係者は「タイの風味が感じられ、うまい。温海かぶのおろしで2種類の味が楽しめる」と感想。実行委員会の会長も務める齋藤勝三さんは「鯛ラーメンを通して漁業者と消費者、店舗とをつなぐ取り組みを進め、社会的な動きを起こしたい。食べてもらうことで、次代を担う子どもたちからも海の大切さを知ってもらうきっかけにしたい」と話した。
実行委は今後、県内のラーメン店や和食・洋食店などで鯛ラーメンを提供してもらえるように働き掛けていく。さらにウェブサイトによる動画などでの情報発信、漁業や魚食文化に関する各種イベントなどを展開していく。