2020年(令和2年) 8月5日(水)付紙面より
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吉村美栄子県知事が3日、先月27、28日の豪雨によって被災した庄内各地を視察した。回ったのは5カ所で農地が冠水した庄内町千本杉を皮切りに鶴岡市楪(ゆずりは)→三川町青山→鶴岡市湯野沢を回り、最後、同市朝日地域の月山ワイン貯蔵庫を見た。
青山の現場では地元各首長に囲まれながら、赤川の土手に立ち、川原が全て水浸しになり、流木などのゴミが柿畑や野菜畑に流れて地面を覆ったことなどを聞いた。青龍寺川と赤川の合流点近くで床上浸水した民家では32年ぶりの洪水被害の恐怖を聞き「大変だったわね」と話に耳を傾けた。住人の佐藤栄子さんは「主婦感覚で話ができた。話しやすかった」と振り返り、地元にあった国土交通省の水のくみ上げポンプの稼働が早かったら、被害は少なかったことなどを率直に話していた。
月山ワインの貯蔵庫では沢の鉄砲水が旧トンネル道の壁を破り、床上1メートルまで浸水したことを聞いた。約2万5000本のワインのうち8000本が泥や水をかぶったといい「瓶の表面を洗ったとしても商品化できるか分からない」という従業員の説明に眉を曇らせた。
視察を終えた吉村知事は最上川流域の大江町、大石田町は「住宅被害が多かった印象」とし「庄内では重要な産業である農産品に大きな被害を受けたことを実感した。収穫間際の枝豆や果樹などが水に浸かったことを深刻に受け止めている。国そして各市町と協力して復興や支援に努めたい」と話した。
同行した皆川治鶴岡市長によると山間部では沢水があふれ、暴れたことで林道約60カ所に被害が出ており、農産物なども合わせると約200カ所が被災したという。