2020年(令和2年) 12月15日(火)付紙面より
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赤羽一嘉国土交通大臣が13日夜、新型コロナウイルスによる県内観光産業への影響など現状を聞くため本県入りし、酒田市で関係者と意見交換した。出席者からは国の観光支援事業「GoToトラベル」の延長を求める声が上がり、赤羽大臣は「山形全体、東北地方全体の観光を支えていきたい」と話した。
赤羽大臣は現在、全国各地で観光業者らと意見交換しており、本県は30カ所目。同市のレストラン「ル・ポットフー」で行われた意見交換会では、本県からは吉村美栄子知事、丸山至酒田、皆川治鶴岡両市長、平井康博県観光物産協会長ら12人が出席。赤羽大臣の冒頭あいさつを除き、非公開で行われた。
あいさつの中で赤羽大臣は「観光関連産業は裾野が広く、地方では農林水産業とともに経済を支える重要な産業になっている」との認識を示した上で、「『失った観光需要を回復してほしい』という要望を受けて7月から『GoToトラベル』事業を展開している。全国の皆さんから『事業がなければ観光業は成り立たなかった』『ずっと継続してほしい』との声もあり、さらなる延長が基本方針となっている。その延長の仕方に関し意見を聴きたい。皆さんの声を観光行政に反映させたい」と本県関係者に意見を求めた。
意見交換は予定の2時間を30分近く超過。終了後に会見した赤羽大臣は「『GoToトラベル』は総じて効果が出ているが、12月に入って感染者が増えていることもありトーンダウンしている。継続・延長してもらいたいという声が多くあった」と話し、今後の観光振興について「鶴岡市はDMO(観光地域づくり推進法人)で先行している。面的に広げる中で観光事業発展のため、DMOを支援していただきたいという要望が出された。観光は点ではなく、面。山形全体、東北地方全体の観光をしっかり応援していきたい」と述べた。
一方、赤羽大臣はこの日、秋田県内の日本海沿岸東北自動車道蟹沢インターチェンジ(IC)―大館能代空港IC開通式典に出席。日沿道に関して「全線早期開通を何人からも要望された。1日で(酒田以北の)全線を走ったが、ミッシングリンクの箇所で時間がかかった。東北地方日本海側の広域連携、物流、生活、観光において重要な幹線道路という認識を持った。道路局長に相談しながら要望に応えていきたい」と語った。
また、コロナ禍で酒田港へのクルーズ船寄港が全て中止になったことにも触れ、「クルーズ航路は観光にとって大きな魅力。(回復まで)時間がかかると思っていたが、10月末に行われた邦船によるトライアルが活況を呈した。観光政策の大きな柱の一つとして地方創生につながる。クルーズ航路を応援したい」と述べた。
2020年(令和2年) 12月15日(火)付紙面より
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日本海沿岸東北自動車道(日沿道、新潟―青森間延長約322キロ)のうち、酒田市と遊佐町を結ぶ酒田みなとインターチェンジ(IC)―遊佐比子IC間5・5キロが、13日午後3時に開通した。今回の開通で庄内地域の日沿道が秋田県境に向かって北に延伸し、酒田市から日向川を越えて遊佐町に初めて高速道路が達した。未開通の遊佐比子―象潟(秋田県にかほ市)間は26年度までに順次開通し、6年後には秋田県境部分が高速道路でつながる見通しとなっている。
この日午前、一般車両の開通を前に酒田みなとICの延伸区間の本線上で、県、酒田市、遊佐町、国土交通省東北地方整備局の4者共催による開通式が行われ、庄内地域や日沿道沿線の秋田県にかほ市、由利本荘市の首長ら関係者約60人が参列。吉村美栄子知事、丸山至酒田市長、時田博機遊佐町長、東北地方整備局の伊藤和久副局長があいさつし、来賓を代表して県選出の加藤鮎子衆院議員(山形3区)、芳賀道也参院議員が祝辞を述べた。伊藤副局長はあいさつで「信頼性の高い道路ネットワークの形成により、重要港湾の酒田港の物流効率化、広域周遊観光の振興などに大きく貢献することを期待している。日沿道で残された未開通区間についても一日も早い全線開通を目指して事業を展開していく」と述べた。
引き続き、本線上に設けられた記念のアーチの下で、主催者や沿線首長、来賓代表らがテープカットとくす玉開披を行い、酒田みなと―遊佐比子間の開通を祝い、式典参列者の車両約50台が開通区間5・5キロを、県警のパトカーを先導に通り初めした。
開通に丸山市長は「酒田港を中心とした物流の効率化による地域産業の活性化、鳥海山・飛島ジオパークの広域観光振興に大きな弾みとなる。引き続き日沿道のミッシングリンク(未開通)解消、地域高規格道路新庄酒田道路の整備に向け一丸で取り組んでいく」、時田町長は「やっとわが町に高速道路が到達した。全線開通で通過されるだけの町にならないよう、日沿道を活用した遊佐パーキングエリアタウンをしっかりと整備し、遊佐のファンづくりを進める」と述べた。
庄内地域を縦貫する日沿道で新たな開通区間は、2012年3月のあつみ温泉―鶴岡間以来8年9カ月ぶり。
今回開通した酒田みなと―遊佐比子間は、09年度に事業化された酒田みなと―遊佐鳥海間12キロの一部。12キロ区間全体の事業費は約310億円で、国が「新直轄」区間として整備した。設計速度80キロの2車線で無料。盛り土区間や日向川を渡る区間では東側に鳥海山が間近に見え、迫力ある眺望が楽しめる。
建設が進む遊佐比子―遊佐鳥海間6・5キロは23年度、秋田県側の小砂川―象潟間7・3キロは25年度、同県にまたがる遊佐鳥海―小砂川間10・6キロは26年度にそれぞれ開通見込みで、26年度までに秋田県境部分がつながる見通しとなっている。