2020年(令和2年) 2月29日(土)付紙面より
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安倍晋三首相は27日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全国すべての小中高校と特別支援学校について、3月2日(月)から春休みに入るまで臨時休校の措置を取るよう要請した。政府が一律休校を求める法的根拠はないが、全国的な蔓延(まんえん)を食い止めるためには、特別な措置が必要だと判断し、要請に踏み切ったとみられる。4月の新学期まで1カ月に及ぶ前代未聞の突然の休校要請に、庄内地域の学校関係者や保護者には戸惑いや混乱が広がっている。
安倍首相は27日開いた政府の対策本部会合で「子どもたちの健康、安全を第一に考え、感染リスクにあらかじめ備える」として、臨時休校を要請。入試や卒業式を行う場合は、感染防止の措置を講じ、必要最小限の人数に限ることも求めた。要請への対応について「生ずるさまざまな課題に対し、政府として責任を持って対応する」と述べた。
県教委は28日午前、教育事務所を通じて各市町村教委に対し▽3月2日からの臨時休業▽ただし、3月第1週の一日だけ登校日として、児童生徒の指導に充てることも可能▽休業中の部活動、補修は控える▽卒業式は必要最小限の人数で行い、時間短縮を心掛ける―などを通知した。3月10日の県内公立高校入試は予定通り実施するが、試験終了後の面接は行わないことを決定した。
要請を踏まえ庄内地域では鶴岡、三川、庄内の3市町教委が3月2日から臨時休校を決定し、遊佐町教委は3月3日から休校とする。酒田市教委は28日午前の段階では決定していない。年度内で実質的に「最後の登校日」となった鶴岡、三川、庄内3市町の各小中学校では28日、休業中の家庭での過ごし方など児童生徒、保護者への連絡などの対応に追われた。
鶴岡市は28日午前、市役所で対策本部の会合を開き、小学生の学校休業中の受け皿となる放課後児童クラブ、学童保育について夏休み休業時に準じた対応を働き掛けることを決めた。
同市内の小学校長は「インフルエンザと異なり学校単位で判断するレベルではなくなり、要請に従うしかない。28日朝、各学年の担任教諭に休校中の家庭での宿題や課題などの準備と、通常とは違う休みだという指導を行うよう指示した。来週に保護者会を予定していて、これに合わせ成績表も付け終わっている」と話した。
一方、保護者には混乱が広がっている。小学4年・1年生、保育園児の3児の父親の庄内町の会社員男性(39)は「日中は祖父母がいるので大丈夫だが、用事で不在になれば親のどちらかが仕事を休まないといけなくなる。保育園や幼稚園に休園が拡大したらさらに困る」、小学4年生の父親の同町の別の会社員男性(45)は「共稼ぎなのでどうすればいいか。急なことで不安だ」と戸惑う。小学6年生の鶴岡市の母親(39)は「自営業だから家で見ることができるけど、身近にはそうでない家庭もある。ママ友同士で協力していきたい。卒業を控えた子どもたちにとって、中学進学で別々になる子もいて、心の準備ができずに友達や先生たちとさよならするのは心苦しいのでは」と話した。
公立高校入試を3月10日に控えた中学3年生の酒田市の父親(51)は「27日に卒業式関連の打ち合わせがあったが、臨時休校要請の話題で持ちきりだった。同じ条件とはいえ、入試に影響しなければいいが」と受験生の親の心情を語った。
庄内でも自粛ムード 「主催者まかせ 基準あいまい」批判の声も
新型コロナウイルスの感染拡大対策で、庄内でも不特定多数の集まる各種イベントの自粛ムードが広まっている。「大規模イベントの今後2週間の自粛」を呼び掛けた政府の要請に対し、主催者団体関係者からは「中止するかどうかは主催団体まかせで基準もあいまいだ」などと批判の声も上がる。
庄内町グリーン・ツーリズム推進協議会は29日(土)に同町の商工ふれあい会館コア・アルザで開催予定だった「身近な観光資源発掘セミナー」を延期する。代替日は28日現在未定。
鶴岡市藤島地域の酒販店でつくる「ふじしまの酒おもしろ倶楽部」は、3月6日(金)に白藤ドライブインで予定されていた「純米大吟醸藤島新酒試飲会」を中止する。例年「藤島」の新酒の発売は4月1日だが、今年は3月10日(火)に前倒しするという。
同市温海地域のまちづくりチームYUKAIなどで組織する摩耶山新酒まつり実行委員会は、3月7日(土)にあつみ温泉朝市広場で開催予定だった「第9回あつみ温泉摩耶山新酒まつり」を4月11日(土)に延期する。前売り券はそのまま使用できる。問い合わせはあつみ観光協会=電0235(43)3547=へ。
東京五輪・パラリンピック酒田市ホストタウン推進協議会は、3月7日に予定していた「ホストタウンフォーラム&ニュージーランドフェア」の開催を延期する。フォーラムでは東北公益文科大の学生、酒田東、酒田光陵両高の生徒らが報告・発表することになっていた。同協議会事務局の市交流観光課によると、日程を再調整するという。
鶴岡市の東田川文化記念館は、3月8日(日)に同記念館明治ホールで開催予定だった「第96回明治ホールコンサート若い芽のコンサート」を中止する。
酒田市教育委員会は、3月8日に開催予定だった県指定無形民俗文化財「黒森歌舞伎」の酒田公演を中止すると発表。前売り券の払い戻しは市庁舎6階の市教委社会教育文化課で行う。問い合わせは同課=電0234(24)2994=へ。
鶴岡商工会議所は、3月9日(月)に東京第一ホテル鶴岡で開催予定だった「庄内における高速交通基盤整備と地域活性化を考えるシンポジウム」を中止する。
東北公益文科大は、3月9―11日(水)に予定していた就職ガイダンスを中止。県内外から3日間計130社が出展する予定だった。21日(土)に予定している卒業式・修了式については実施の有無を含め来週中に判断するという。
庄内観光物産館は、3月28(土)、29(日)両日同物産館で開催予定の「おいでよ!おいしい山形・庄内 地酒まつりin庄内観光物産館」を中止する。問い合わせは、同物産館=電0235(25)5111=へ。
2020年(令和2年) 2月29日(土)付紙面より
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金峯山雪灯篭まつりが27日夜、鶴岡市の金峯神社(佐々木孝善宮司)で開催された。28日の山開き祭を前に地元有志でつくる実行委員会(亀井鉄蔵会長)が毎年開き今年で31回目。
暖冬による雪不足で雪灯篭は30基と例年の3割ほどとなった。今年はよさこいソーラン踊り「黄金の舞」が中止となったが祥雲御山太鼓ほかは予定通り。
この日は小雪が舞い寒い日となったが、予定した駐車場に止め切れず沿道に駐車するほどの人出があった。会場は雪が少ない分大小の竹を使った明かりを増やし雰囲気を出し、幻想的な世界を演出していた。
同市大泉地区から3人で訪れた白幡麗華さん(22)は「初めて来ましたが雪灯篭はきれいだと思う。太鼓の演奏も良かった。今年は縁結びの願掛けも兼ねて来ました。来年もまた来ます」と話していた。