2020年(令和2年) 3月14日(土)付紙面より
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地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構(栗谷義樹理事長)が一昨年12月、運営する日本海総合病院(酒田市あきほ町)に庄内地方では初めて導入、昨年5月に運用が始まった手術支援ロボット「ダヴィンチ」。ライセンスを取得した医師が高画質な画像を見ながら、自ら手の動きを正確に再現するロボットアームを操作して手術するための装置で、同病院では順調に実績を重ねている。保険適用の範囲も広がり、担当医師は「庄内地域でより質の高い手術を提供できるよう取り組んでいきたい」と話している。
複雑・緻密な手術を可能にするため開発された「ダヴィンチ」は、国内では2009年に医療機器として承認された。▽高画質の3D画像を見ながらコントローラーを操作する「サージョンコンソール」▽サージョンコンソールと連動したロボットアームの「ペイシェントカート」▽手術中の画像をモニターに映し出す「ビジョンカート」―の3つの機器で構成される。
主な特長として▽数カ所の小さな切開部から手術を行うため、傷が小さく、出血も抑えられ患者の体への負担が少ない▽ロボットアームに装着されている鉗子(かんし)は人間の手よりも大きな可動域と手振れ補正機能を装備する―などが上げられる。
施設基準を満たし日本海総合病院では昨年5月に泌尿器科、同8月からは県内で初めて呼吸器外科の領域でそれぞれ運用がスタート。以来、今年1月までに前立腺がん、肺がんなどの患者に対し計48件の手術を施している。手術に従事した同病院呼吸器外科の金内直樹部長は「ダヴィンチ」について「患者の体に入って手術しているような感覚になる」と。同じく泌尿器科の川村裕子部長は「前立腺がんに関し国内では4、5年前、件数が開腹手術を超えた。既に一般的な手術方法になっており、今後さらに伸びるだろう」と話す。呼吸器外科領域に関して同病院は現在も県内唯一の稼働施設。
ロボット支援手術は12年4月に前立腺がん、18年4月からは肺がんなど5領域で保険適用となった。自己負担限度額が設定される高額療養費制度も利用できる。金内部長は「外科手術を取り巻く環境は今後10年でさらに大きく変化するだろう。より質の高い手術が提供できるよう、チーム一丸となって努力していきたい」と話した。
2020年(令和2年) 3月14日(土)付紙面より
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14日のホワイトデーにはぜひ花束を―。新型コロナウイルスの感染拡大に影響を受けた花卉(かき)類の販売低迷を受け、地元JAと生産者が12日、鶴岡市役所を訪問し、皆川治市長に地元産フラワーギフトの魅力をPRした。
3月は例年卒業式や春の彼岸などで花卉需要が高まる時期だが、感染拡大予防で各種催事が中止や規模縮小の措置が取られたため今年は需要が減少、価格も落ち込む。単価は前年同期比で、JA鶴岡は3割減、JA庄内たがわでは2割減という。昨年度の花卉類の販売額は園芸特産品目中、JA鶴岡では約16%、JA庄内たがわでは約18%を占めており、影響が最需要期の5月の母の日まで続く懸念もあり深刻だ。
この日は花卉生産者の佐藤民子さん(62)=同市西沼=と両JA関係者の合わせて6人が市役所を訪問。旬のアルストロメリア、カーネーション、ストック、ユリなどで作った花束を皆川市長にプレゼントした。
佐藤さんは「鶴岡産のアルストロメリアは色も多いし、他にも年間を通して種類が豊富。生産者もトルコギキョウなどの選別も力を入れており、品質は良い」と胸を張ってPR。新型肺炎の影響による価格低迷には、「単価が下がっても出荷は変わらずに続ける。いつまで続くのか不安は抱えるが、希望は持ちたい」と語った。
皆川市長は「心のこもった花束に感謝。地元産の花の魅力のPRに協力できれば。個人的にも家族へ花を贈らせてもらいたい」などと述べた。
両JAの花卉類は各産直などで購入できる。