2020年(令和2年) 3月7日(土)付紙面より
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新型コロナウイルスの感染予防対策で臨時休校となっている県立鶴岡工業高校(百瀬克浩校長)は5日、在宅中の1、2年生計378人を対象にウェブ配信による講演会を行った。同様の試みは同校では初めて。
今回配信したのは、同校が連携協定を結ぶ山形大国際事業化研究センターの小野寺忠司センター長による「鶴工魂100周年に向けて」と題した講演会。もともと同校体育館で開催予定だったが、休校措置で中止に。同大などから協力してもらい、ウェブ配信にこぎ着けた。
この日は、山形市内の山形大小白川キャンパスで小野寺センター長が講話。その様子を大手動画サイトに限定公開でアップロードして生徒たちに配信した。最初に音量調整でトラブルもあったがその後は滞りなく進行。同校によるとリアルタイムでは90回再生、その後翌6日午前9時までに335回再生された。
講演で小野寺センター長は、山形大と鶴岡工業高の連携人材育成プログラムの一環で取り組まれる事業などに触れ、マーケティングやプロモーションといった総合的なものづくりを学ぶ意義を訴えた。
情報通信科1年の鈴木慧さん(16)は、市内の自宅にある個人用デスクトップパソコンで視聴。「少し違和感もあったが、集中して聞くことができた。鶴工の100周年の節目で行うシルクプロジェクトにも中心的に関わっているので、今日の学びを生かしたい」と感想を話した。休校については、「家から出ない生活が続いている。授業の進度が遅れるのは心配。今のところ自習では復習が中心で先生に聞きたい質問もそれほどないが…」と今後の不安を吐露した。
2020年(令和2年) 3月7日(土)付紙面より
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鶴岡市出身の紋章上絵師(うわえし)・地主成利さん(64)=京都市中京区=が理事長を務める京都紋章工芸協同組合が、紋帖「平安紋鑑」の令和改訂版を刊行した。平安時代から全国に伝わる家紋約4500種を統一規格としてまとめたもので、全国の紋章工芸関係者がバイブルとしている。在庫がなくなり、16年ぶりに改訂発行したもので、地主さんは「故郷・鶴岡の人たちへの恩返しや紋章文化の普及につながれば」と刊行への思いを語った。
平安紋鑑は初版が1936(昭和11)年に刊行された。地主さんによると、当時は祝祭日を「紋日」として、子どもたちが学校に紋付きの着物を着ていくなど、家紋は日常生活の中に溶け込んでいた。一方で、見本となる紋帖はさまざま出回り、同じ家紋でも形がかなり違うこともあった。そのため京都の紋章工芸関係者が中心になり、全国の統一規格として紋鑑を刊行した。
2004年の第12版まで刊行されたが、出版元が廃業したこともあり、在庫が底を突き、ここ数年は入手できなくなっていた。そこで組合が、関連の業界団体である一般社団法人京染会と共同で、新たな出版元で令和改訂版を刊行した。
特徴としては、判型を横長から縦長にし、現代人にも使いやすくした。不鮮明だった紋章はパソコンを使った手描きやデジタル処理で補い、鮮明にした。初版に載って以来、第2版以降は割愛されていた華やかな「加賀紋」約20種をカラーで復活させた。漢字約800種の行書・草書・篆書・角字印譜、ぶん回し(コンパス)で円を5分割などにする「割方」、代表的な家紋の作図方法も載る。大名の花押を増やすなど全体的に掲載事項を増やし、旧版より約30ページ増となった。
地主さんは「加賀紋は、華美な衣服が禁止された江戸期、せめて家紋ぐらいはと華やかさを競い合ったもの。再びカラーで載せたところ、これ目当てで改訂版を求める人もいるほど関心が高い」という。
また、「鶴岡を出て42年。当初は右も左も分からなかったが、京都の人たちに育てていただき、今の自分がある。ただ、自分の土台は故郷・鶴岡にあると思っている。恩返しとしてこれまでも『平安紋鑑もんきりあそび』を刊行するなど、家紋の普及に努めてきた。今回も故郷への恩返しや、家紋の歴史や奥深さに触れ普及につながればという思いを込めた」と話した。
A5判、256ページ、一部カラー刷り、3000円(税別)。初版は1500部。問い合わせは出版元の赤々舎=電075(746)7949=へ。