2020年(令和2年) 7月3日(金)付紙面より
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鶴岡市熊出の「かたくり温泉ぼんぼ」の源泉を使った山塩「ゆどのの山塩」が開発され1日、記者発表された。強塩温泉を水蒸気の熱で間接的に温め、4日がかりで煮詰め塩にするもので、ミネラル分が多く、味はまろやかという。今月28日に地域内の産直施設で、この山塩を使った加工品とともに発表会を開き、販売開始する予定だ。
同市朝日地域の住民でつくるぼんぼ管理運営組合の渡部嚴理事長(78)が、設備に付いた塩の結晶をなめ、「おいしい。製品にできないか」と考えたのがきっかけ。昨年1月からあさひむら特産品開発協議会の宮崎正会長(70)と検討を本格化。同6月には財務省に製塩事業を届け出、同9月には渡部理事長と宮崎会長の出資で製塩会社「みやま湯殿の山塩」(社長・宮崎会長)を設立した。全国でも数少ない山塩製造の先進地である福島県北塩原村の事業所視察などを経て、同市東岩本地内にコンテナ3棟を改造して製塩所を建て、今年1月から試作を重ねてきた。
源泉は、旧朝日村がぼんぼのオープン(1993年)に向け92年に掘削した。地下約1300メートルから毎分110リットルが湧出、ぼんぼではそのままかけ流しで使っている。製塩では1回300リットル程度を市から1リットル3円で購入し、製塩所に運ぶ。平釜に入れ、建築廃材によるボイラーで煮詰める。直火でなく、水蒸気で間接的に温める方式のため、焦げ付かず、まろやかな味に仕上がるという。源泉300リットルから約5キロの塩ができる。
製品としては「食べる温泉」「生まれかわりの塩」の2種(ともに袋詰め、瓶詰めで各50グラム入り)を出す。中味は同じで、前者は同市のイタリア料理店アル・ケッチァーノの奥田政行オーナーシェフの命名、後者は出羽三山の一つで同地域を象徴する「生まれ変わりの山・湯殿山」にちなんだもの。奥田さんからは「野菜やいろんな食材に合い、食材本来のうま味を引き出す塩」との評価をもらったという。
山塩を使った加工品は産直あさひ・グー(同市下名川、佐藤照子店長)に開発を依頼。これまでのところ、乾燥・粉砕した行者ニンニクや葉ワサビと混ぜたハーブソルト、塩あずき大福、甘辛ラスクが有望という。
1日にぼんぼで行われた記者発表で、渡部理事長は「さまざまな特産品を開発して温泉の泉質の良さとともにアピールし、地域活性化や住民の健康づくりにつなげたい」、宮崎会長は「市販の塩の多くは海水を使ったもので、山塩は珍しく、マイクロプラスチックなど海洋汚染の心配もない。おいしく、安心安全な塩として自信を持って提供できる」とアピールした。
山塩の価格は、袋詰めが800円程度、瓶詰めが900―1000円程度(いずれも税別)を予定。28日にはグーで加工品とともに発表会を開き、同所やぼんぼ、月山周辺の観光地などで販売していく。
2020年(令和2年) 7月3日(金)付紙面より
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自転車による交通事故で加害者となった場合、高額な賠償請求を命じられるケースが全国各地で相次いでいることを受け1日、県の「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例(県自転車条例)」で自転車利用者に対する損害賠償責任保険などの加入が義務化された。昨年12月に施行された同条例の周知、自転車保険への加入促進を図る街頭活動が同日朝、県下一斉に行われ、登校中の高校生らに対し警察署員と交通安全団体役員が啓発チラシを配布した。
自転車事故をめぐる訴訟では2013年に兵庫県で、自転車の男子小学生が歩行中の女性と衝突。女性は意識が戻らない後遺障害となり、監督責任を問われた小学生の母親は9520万円の賠償を命じられるなど、各地で高額な賠償が相次いでいる。県は昨年12月に自転車条例を施行し、1日からは損害賠償責任を負った場合の経済的負担軽減と被害者の保護のため、保険加入を義務化した。
庄内地域ではこの日朝、鶴岡、酒田、庄内の3警察署単位で活動。このうち庄内町のJR余目駅前で行われた庄内署の活動には、署員と交通安全団体役員、県職員計8人が参加。登校を急ぐ高校生らに対し、▽交通ルールの順守▽自転車の安全利用▽自転車の適切な管理―を広く呼び掛ける啓発チラシを配布し、「自転車保険に加入しているか確認し、加入していない場合は必ず入って」と語り掛けた。
県によると、本県は全国有数の自転車保有数を誇るという。過去5年間の自転車事故加害者のうち、10代が半数を占めるという。