2020年(令和2年) 7月4日(土)付紙面より
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高齢者を対象に、オンライン会議システムの立ち上げを体験的に学ぶ勉強会「やてみねが(やってみないか)オンライン」が3日、鶴岡市馬場町の慶應義塾大先端生命科学研究所センター棟で行われ、同大の社会人大学院生の指導でオンラインでつながり、コミュニケーションを楽しんだ。
同研究所が地域連携プロジェクトの一環で初めて企画。同研究所の「からだ館」が主宰するがん患者サロン「にこにこ倶楽部」の60―70代の会員7人が参加し、社会人大学院生5人の指導でオンライン会議システム「Zoom(ズーム)」の接続を学んだ。
参加者はパスワードを入れるなどパソコンを操作し、画面に自分の顔が現れると、「あれまっ」と顔を赤らめる人も。7人全員がつながると、「先日はどうも」など会話を楽しんでいた。
同市木野俣の無職、伊藤富博さん(70)は「意外に簡単だった。これまでもからだ館で同じ境遇の人と出会ったり、最新の情報を得て最新の治療を受けたりと、つながる大切さを感じていた。こうして簡単にネットでもつながると分かり、心強い。今後もいろいろ使ってみたい」と話した。
同研究所地域連携担当の坂井明子さんは「新型コロナウイルスで思うように外出や対面ができない今、高齢者こそこうしたノウハウを習得すべき。在宅診療など応用も広がる。勉強会は地域や医療機関で開くことも検討したい」と話している。
2020年(令和2年) 7月4日(土)付紙面より
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鶴岡市は2日、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市、大津敦院長)と市立荘内病院(鈴木聡院長)との間でがん診療に関する連携を締結し、11月ごろから月に1回程度、荘内病院内に「がん相談外来」を設け、東病院の専門医が遠隔診療を行うなど、新たな連携プロジェクトに取り組むと発表した。8日に荘内病院で両病院長が連携協定を締結する。
国立がん研究センターは、地方創生に伴う国の機関の地方移転の一環で2016年度から5カ年計画で、国の地方創生推進交付金と県、市の助成を受けて市との共同研究プロジェクトに着手。17年4月には同市覚岸寺の市先端研究産業支援センター内に、国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点「がんメタボロミクス研究所」を開設し、同市の慶應義塾大先端生命科学研究所と連携してがんの診断薬の研究開発などに取り組んでいる。
協定はこうした流れを受けたもの。市側では高度な医療の提供による地域医療への貢献、東病院側では荘内病院をがんの遠隔診療を探索するプロジェクト施設に位置付け、実証研究を進める狙い。8―10月に準備を進め、11月を目標に月1回、荘内病院に「がん相談外来」を開設し、遠隔診療を行う。特に希少がんや小児がんなど難治がん患者が地元に居ながらより専門性の高い治療を受け、身体的、経済的な負担軽減が図られる。国立がん研究センターが地方の医療機関と連携してこの種の遠隔診療に取り組むのは初で、全国の患者を遠隔診療するモデルとなることも期待されている。
協定ではそのほか、東病院のがん看護専門課程の研修に荘内病院の看護師が参加したり、メディカルスタッフの人事交流なども想定。
皆川治市長は2日の定例記者会見で、「がん研との地方創生の協定は本年度が最終年度。次の申請に向けての位置付け方もこれから県と相談しながら、来年度以降の取り組みにつなげたい」と、来年度以降へのつながりにも期待を示した。