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2020年(令和2年) 7月8日(水)付紙面より

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来年2月1?2日 「王祇祭」史上初の中止

 鶴岡市黒川地区に長く伝わる黒川能(国指定重要無形民俗文化財)の「王祇祭」が来年中止されることが明らかになった。6日、春日神社の難波玉記宮司(77)から能役者をはじめ関係各所に通知された。毎年2月1?2日に行われ、500年以上の歴史がある神事が中止されるのは史上初。理由は新型コロナウイルス感染拡大を防止するためで、あらためてコロナ禍が浮き彫りにされた。

 長い歴史が連綿と続いてきた黒川能の歴史にいったん休止符が打たれることになった。「令和三年旧例祭(王祇祭)斎行取りやめ」という内容の通知が回ってきた。「新型コロナウイルス感染症の拡大防止に鑑み、いまだ感染終息が見えない状況にあり、ワクチンもできておりません。安全確保の観点などさまざまな影響が生じることを懸念しております」とし「祭りに関わる方々はじめ、祭りを見においでになる皆さまの安心、安全を最優先に考えての苦渋の決断。何とぞご理解いただきたく存じます」と書かれていた。

 「当屋」の名前でも親しまれている王祇祭は毎年、県外から多くの観光客が訪れ、夜を徹して能・狂言が舞われる。能の合間に舞台脇で酒が酌み交わされ、食事も振る舞われ、観客席も隣の人と肩が触れ合うくらいの密着度だ。さらに楽屋も狭い。例年はこれらが祭りに味わいをもたらすが、コロナ対策の「3密」回避とは対照的な環境であり、関係者が協議を重ね、中止の決断に至った。

 全ての行事を中止にするのは王祇祭ならではの特殊な事情がある。春日神社のご神体は祭りの夜は上・下両座に移され、翌朝、神社に再度戻ってくる形態。ご神体を祭る「当屋」がなくなることで例大祭の形態が取れなくなる。このあたり、イベントは中止になっても神職によって例大祭だけは行われた天神祭や、今夏の荘内大祭とは事情が異なる。

 また長く農民芸術として知られるが、近年は能役者や謡(うた)い方、鼓(つづみ)方らも勤め人と農業を兼業する人が多く、もし王祇祭がもとで感染があった場合、勤務先のクラスター感染につながることを憂慮する声なども挙がっていた。来年は中止となったが、仕切り直しの2022(令和4)年にはコロナ終息を願い準備を進めていく予定。また今月25日予定されていた「水焔(すいえん)の能」はすでに中止が決まっており、秋の能披露なども中止となる可能性が高い。

今年2月1日の下座の演能。人々が密着しての祭りだけに、来年は中止の判断となった
今年2月1日の下座の演能。人々が密着しての祭りだけに、来年は中止の判断となった


2020年(令和2年) 7月8日(水)付紙面より

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地元就職志向強まる? コロナ禍の中30社説明PR

 鶴岡・田川地区の「高校生就職祭り」が6日、鶴岡市の東京第一ホテル鶴岡で行われた。地区内の高校3年の就職希望者を対象に地元企業の経営理念や事業を紹介するもので、企業30社が参加し6高校の約190人が経営者や担当者の話を聞いた。今年は新型コロナウイルス感染の影響下での就職活動になりそうで、高校の担当教師は「今のところ昨年度に比べ県外を中心に求人数は2割ほど減っているが、生徒たちはコロナ禍もあってか地元就職志向が逆に強い面がある」と話していた。

 鶴岡地区雇用対策協議会が2012年度から毎年開催している。今回は鶴岡工業、鶴岡中央、鶴岡南山添校、庄内農業、加茂水産、鶴岡東の6高校から、昨年度より約20人多い参加者があった。社数限定で受け付けた企業側からは各種製造業や旅館・ホテル、小売、介護、運輸など幅広い事業所が参加した。

 高校生たちが希望する企業のブースを回って説明を受ける形式で、企業側は自社の業務内容とともに「責任を持って仕事をやり遂げられる、やる気のある人」「知識より好奇心のある人、いろんなことにチャレンジする人」など求める人材像を紹介。生徒たちは「職種が自分に合うか不安」「仕事を覚えられるか不安」など率直に話し、企業の担当者が「皆さんと年齢が近い若手社員が面倒を見てくれる」など説明していた。

 参加した製造業の採用担当者は「昨年度は10人の採用を計画したが、今年はコロナ禍で業績の見通しが難しい。だが、企業の継続を考え新卒者は採用したい」と話し、庄内農業3年の佐藤綺音(あやね)さんは「働くことに不安があったけど、話を聞いてイメージでき解消した。地元の製造業か接客業に就きたい」と話した。同協議会の事務局は「採用意欲が旺盛な地元企業は少なくない。多くの高校生から地元に残ってほしい」と語った。

就職希望の高校3年生に地元企業が事業内容などを説明した
就職希望の高校3年生に地元企業が事業内容などを説明した



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