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2020年(令和2年) 8月18日(火)付紙面より

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県内大雨被害額277億円に

 県は17日、先月27日からの大雨に関する災害対策本部員会議の第7回会合を開いた。大雨による道路・河川関係や農林水産関係の被害額は、同日現在まで約277億円に上ることが分かった。被害額については調査継続中で、今後さらに拡大する可能性もあるという。

 県防災くらし安心部によると、大雨による被害のうち道路・河川関係の被害額は約220億円。道路は県道など78路線327カ所で道路欠損や土砂流出があった。河川は133河川602カ所の堤防や護岸が破損した。このほか砂防施設37カ所、下水道2カ所に被害が出た。

 一方、農林水産関係の被害額は56億円余り。約2488ヘクタール分の農作物(穀物、豆類、野菜、果樹、花き類など)について農地への浸水や土砂流入、倒木などがあった。他に肉用牛・乳用牛の死亡2件も出た。また、パイプハウスや果樹棚の損壊など県全域で102件。田畑ののり面崩落や土砂流入、揚水機場の浸水といった農地、農業用施設の被害は1517カ所に及んだ。水産関係は養殖魚の流出や関係施設の破損など11件。森林関係は林道ののり面崩落や路肩決壊などを中心に758カ所で被害が出た。

 このほか、県が実施している災害見舞金の見直しについて協議し、住宅の被災に対する見舞金の交付範囲の拡大と金額の引き上げを決めた。現行は全壊への交付額が20万円、半壊(大規模半壊、半壊)へ10万円となっているところを、全壊は30万円、半壊は20万円に引き上げる。さらに一部破損と床上浸水した住宅に対して10万円を新たに交付する。今後、県議会に諮り予算化する方針。


2020年(令和2年) 8月18日(火)付紙面より

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甲子園交流試合 鶴岡東逆転で航空石川下す 先発・阿部バック信頼力投 聖地に流れる校歌、後輩につなぐ

 甲子園交流試合は16日、鶴岡東―日本航空石川戦が行われ、鶴岡東が接戦をものにし5―3で逆転勝ちした。誰もが驚いた左腕のサイドスロー阿部駿介(鶴岡一中出身)の先発。序盤は不安定で先制点をもらいながら1―3と逆転された。しかし尻上がりに制球が良くなり、チームは5回に逆転、8回さらに加点。最後2イニングをエース太田陽都(立川中出身)が0に抑えて逃げ切った。コロナ禍に振り回された3年生最後の試合に勝利の女神がほほ笑んだ。

 ○…鶴岡東は初回山路が中前打し馬場の二塁打で先制した。初回、2回と3失点した阿部は3回以降5イニングを無失点に抑え、その間5回相手の暴投で勝ち越し、8回小林の右中間二塁打も効果的だった。阿部は107球で太田につないでしのぎ切った。

救援・太田踏ん張り好守呼ぶ

 試合開始からハラハラさせられ、中盤再逆転で少しは落ち着いたが最終回は一打逆転サヨナラ負けの2死満塁ピンチ。最後相手の安打性の強いゴロは山路将太郎二塁手の好守があってさばかれ、一塁・馬場和輝に送球されてゲームセット。勝っても負けても1試合限りの甲子園は鶴岡東のハッピーエンドとなった。

 佐藤俊監督(49)は夏の県独自大会・羽黒戦(準々決勝)で3番手としてわずか2回3分の2を投げただけの背番号「18」阿部投手の先発起用を「他の選手と比較しても人一倍、一生懸命やっていた。出番をつくってあげたかった」と説明した。投手二本柱の両右腕「太田、小林(三邦)に県大会、東北大会の疲れが見えた」「うちは全員野球を目指している」とも話したが、危険な賭けだったのは事実だ。3年間、選手たちを見守ってきた父母席は正直だった。

 試合前の先発発表アナウンス。「投手・阿部」にどよめいて、拍手はざわめきに変わった。原則無観客試合だから、約200人の鶴岡東・一塁側スタンド内の反応はよく分かる。

 もし敗れたら「奇策失敗」となっただろう。心配が現実になりそうでもあった。初回簡単に2死にしながら3連打を食らい、ボークもあって逆転を許した。2回も阿部自らの三塁送球がそれて、さらに1点。1―3と差は広がった。だが阿部は開き直った。前夜のミーティングで監督から言い渡された先発。自分自身が一番驚いたが相手の上位打線4人の左打者対策もあった。「信頼に応えよう」と思うともに一人相撲だけは避けることを誓った。「今の3年生35人は仲が良い。バックを信じるだけだ」。そう思った瞬間「やる気のアドレナリンが出てきた」といい、120キロ台の直球にシュート回転が掛かり、時に上手で投げる90キロ台のカーブに相手打者が苦しみだした。監督への感謝と仲間への信頼。「全員野球の中の自分を表現するだけ」という気持ちが阿部を男にした。

 それにしても、県大会5試合無失策のチームがこの試合だけで3エラー。そしてエースの名に懸けた太田が9回簡単に2死を取りながら連続四球から満塁のピンチをつくるなど、甲子園はやはり別物だ。 

 昨夏2勝した卒業生をアルプススタンドから眺め、憧れた甲子園の舞台。東北3校中、唯一の勝利。「自分たちが経験したものを今度は後輩たちにつないでいきたい」と、チームをまとめてきた鈴木喬主将(鶴岡二中出身)は次の世代への橋渡しに目を輝かせた。

校歌を歌い勝利を実感。ようやく笑みの鶴岡東ナイン
校歌を歌い勝利を実感。ようやく笑みの鶴岡東ナイン

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