2020年(令和2年) 8月20日(木)付紙面より
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がん患者らの情報交換や交流の拠点となっている慶應義塾大先端生命科学研究所「からだ館」(鶴岡市馬場町)が、人を前向きにする言葉や元気にする言葉を公募し、オリジナルのポストカードを製作した。応募者のエピソードや関連する写真をあしらい、それぞれが共感を誘う内容。希望者にプレゼントし、心のこもった言葉を通じ元気の輪を広げていく。
からだ館は2007年11月、慶應大先端研が鶴岡タウンキャンパス内に開設。09年にはがん患者サロン「にこにこ倶楽部」を立ち上げ月1回、交流している。
今回は今年2月ごろ、同倶楽部会員たちから「自分たちが生きる力をもらった言葉を、地域の人たちに紹介し、地域の元気に」という案が浮上。「ことの葉プロジェクト」と銘打ち、「大切にしている言葉を教えて」と公募したところ、会員や一般から、著名人の言葉や、友人や家族から言われ印象に残っている言葉などがエピソードとともに寄せられた。22点を選び、1枚ずつ関連する写真と組み合わせ、ポストカードに仕上げた。
カードは、「大好き―亡き夫がよく言ってくれた言葉。愛情をストレートに惜しみなく伝えることの大切さを教えてもらった」「なんとかなるよ―子どもの頃、クヨクヨしがちな私に、母や祖母がいつもこの言葉で励ましてくれた」など、シンプルな言葉でも、エピソードで味わい深い内容に。
また、「自縄自縛―ありもしない縄で自らを縛ること。病気になって気持ちがふさいだ時、傾聴の先生が教えてくれた」「禍福は糾(あざな)える縄の如し―災いと幸運はより合わさった縄のように表裏一体。私自身、病気になった時に素晴らしい出会いをいくつも経験した」など体験者ならではの説得力ある言葉が多い。
18日に慶應大鶴岡タウンキャンパス内で行われたポストカードの完成発表会には、同倶楽部会員ら約10人が参加。自分の応募作や気に入った作品への思いを語り合った。
今年2月にがんの手術をしたという菊地洋子さん(72)=鶴岡市美原町=は、「ありがとう」を3回、愛、喜、夢という漢字に見えるように書いた自筆の書が採用された。「以前から同じようなカードを作り、周囲にあげていた。喜んでもらえるのがうれしくて、手術の前日も100枚ほど書き、医師や看護師にあげた。感謝や笑顔が広がるのがいい」と話した。
同館では「コロナ禍で会いたいのに会えない人も多い。電子メールなどのコミュニケーションが主流の今だからこそ、心のこもったカードで前向きになれる言葉を発信して」としている。
カードは22種を100枚ずつ印刷。からだ館に展示し、アンケート回答者に1人3枚までプレゼントする。同館のホームページからも、アンケート回答者は自由にダウンロードできる。問い合わせは同館=電0235(29)0806=へ。
2020年(令和2年) 8月20日(木)付紙面より
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酒田市の県立酒田東高校(五十嵐文彦校長)の普通科1年生102人が18日、同市の高砂国有林で森林整備のボランティア活動を展開。気温が上昇する中、のこぎりを手にクロマツの枝打ちに精を出した。
夏季休業(20日まで)を活用し、休み明けのテスト対策、課題の進捗(しんちょく)具合を点検する「ステップアップセミナー」の一環。庄内地域特有の気候や地形、歴史などの知識を深め、現状と課題について理解を深めるとともに、ボランティア精神高揚を図ろうと、「地域ふれあい講座」と銘打ち初めて実施した。
同日午前は県庄内総合支庁森林整備課職員による座学。午後からのボランティア活動では庄内森林管理署、同支庁、市の職員、「万里の松原に親しむ会」(三浦武会長)の会員計約30人が指導に当たった。
作業したのは高砂国有林のうち約1ヘクタール。真夏の太陽が木漏れ日となって降り注ぐ中、生徒たちはクラス単位でのこぎりを使って枝打ち。額に汗しながら作業を進めていた。高橋昊輝さん(15)は「地域に貢献したいと思っている。今後も機会があったらぜひ参加したい」と話した。
三浦会長は「市民自慢の松林を次代につなぐランナーになってもらえたら」と語った。