2020年(令和2年) 8月26日(水)付紙面より
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400年の伝統があるという鶴岡市温海地域のブランド赤カブ「焼畑あつみかぶ」。高齢化で生産者不足が懸念される中、市や生産者らでつくる「焼畑あつみかぶブランド力向上対策協議会」は本年度、新たな試みとして希望する地域内の住民グループに生産から加工まで一貫して指導する「栽培チャレンジサポート事業」を始めた。その焼き畑作業が24日、同市湯温海の山林で行われ、あつみ温泉の旅館の若手社員らが焼き畑と種まきに挑戦した。
同協議会は2012年7月、山形大農学部の江頭宏昌教授をアドバイザーに、市や生産者、JA、産直関係者らで結成した。類似品が増えてきたことから、1温海地域内で栽培2原産地・一霞地区の種子を使用3焼き畑で栽培―など栽培基準をつくって品質向上や他との差別化を図っている。
忠鉢孝喜会長(66)=温海川=によると、生産者は約100人で、年間生産量は120トン程度。しかし、平均年齢が70歳超と高齢化が進んでいる。栽培チャレンジサポート事業は希望する住民グループに無償でほ場の整備から焼き畑、収穫、加工までを指導。副収入や新たな生きがいづくりによって生産者の裾野拡大につなげる狙い。初年度の今年は山五十川の青年グループと、あつみ温泉の旅館「萬国屋」の従業員による「赤かぶ部」の2グループが名乗りを上げた。
この日は、萬国屋赤かぶ部の篤(とく)由貴絵さん(44)ら7人が忠鉢会長の指導で、湯温海の山林の沢伝いのほ場約5アールで焼き畑に挑戦した。お盆前に雑木を払い、乾燥させていたという。
忠鉢さんが斜面の上端からガスバーナーで火を入れると、枯れ草が次々に燃えた。熱いうちに種をまくと発芽率が良いといわれており、篤さんら部員がすぐ、灰の上に種をまいた。
篤さんは「在来野菜は最高の食材で、継承したい。お客さんは食べるだけでなく、収穫や漬け込みなど苦労を含めて体験し、その価値をより深く理解してほしい」と新たな観光資源としての可能性にも期待。今後、間引きや除草などを経て、10月下旬ごろから収穫。収穫物は旅館で自由に使ってもらうという。
忠鉢さんは「温海の土壌は火山灰で水はけが良く、ミネラルが多い。さらに焼き畑は灰が肥料になって雑草を抑え、歯触り良く、柔らかいカブが育つ。400年続く伝統農法を絶やしたくない。仕事としての魅力を少しでも広め、若者の定着や移住につながればうれしい」と話した。
山五十川のグループの焼き畑は23日に実施済み。サポート事業は来年度以降も継続の予定という。
2020年(令和2年) 8月26日(水)付紙面より
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新型コロナウイルス感染症の影響で酒類の売り上げが落ち込む中、遊佐町吹浦沖の海水を原料に製塩している「さかたの塩」(酒田市宮海)は、県産の日本酒の酒粕(かす)とワインの澱(おり)を使った新製品「酒粕塩」「ワイン塩」の2種を開発した。大川義雄社長(49)は「グラスの縁に付ける『スノースタイル』で一緒に味わったり、肉や魚の味付けなどに使い、県産酒の消費拡大につながれば」とアピールしている。
同社は、高橋建築(酒田市宮海、高橋充治会長)が2008年、建築廃材を燃料にして製塩を始め、今年7月に独立して法人化した。鳥海山の伏流水が流れ込む吹浦沖で海水をくみ、直火で平釜を煮詰め、ミネラル分豊富な塩を作っている。
新製品は、新型コロナで酒類の売り上げが落ち込む中、製塩を通じて応援したいと企画。原料の海水に、いずれも県産の日本酒の酒粕、ワインの澱をそれぞれ入れて煮詰め、色合いと風味が豊かな塩に仕上げた。
酒粕塩はやや褐色、味はまろやかで、魚料理に合うという。ワイン塩は赤ワインそのままの鮮やかな赤で、やや酸味があり、肉料理や天ぷらなどに合うという。ともに、グラスの縁を酒などで濡らして塩を付ける「スノースタイル」にすると、それぞれの酒のおいしさを引き立てるという。
大川社長は「本県は、インターナショナルワインチャレンジの日本酒部門で6年連続で最多金賞など『日本一の美酒県』。コロナ禍の中であらためて県産酒の魅力を知って誇りにし、消費を通じて応援してもらえれば」としている。
各3グラム入りで希望小売価格は100円(税込み)。県酒類卸売を通じ、今月下旬から県産酒を販売している県内の小売酒販店、量販店、スーパーなどで販売。問い合わせはさかたの塩=電0234(68)9011=へ。