2020年(令和2年) 8月28日(金)付紙面より
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酒田市は、ともに指定管理で市の施設を運営している土門拳記念館(高橋修理事長)と、市美術館(理事長・丸山至市長)の二つの公益財団法人(公財)について、財政面の強化や業務の効率化、質の向上を目的に統合し来年4月1日、新法人「さかた文化財団」を発足させる。新法人は市内の文化芸術のけん引役も担う。統合に向けた調印式が29日午後、同市の出羽遊心館で行われる。
今年3月の市議会定例会の中で、丸山至市長は両公財の統合を目指す考えを示していた。両公財はそれぞれ、1983年開設の市写真展示館(通称・土門拳記念館、飯森山二丁目)、97年に開館した市美術館(飯森山三丁目)を運営。市教育委員会によると、両施設の入館者は、土門拳記念館は開館直後の年間約8万人に対して2018年度は約2万6000人、市美術館はピークの2000年度の約10万6000人に対して18年度は約4万1700人と、ともに企画内容で変動はあるものの、長期的には減少傾向にある。観光が団体客から個人客へ、美術は鑑賞からワークショップなど体験重視へ、とニーズが変わっていることが大きな要因とみられているという。
また、入館者について土門拳記念館が県外者、市美術館は地元在住者がそれぞれ多いという。統合後は連携した企画により、相互に入館者の還流を促しながら全体の利用を増やす取り組みなども想定している。
統合はこうした状況の他、市が18年3月、文化芸術の振興をまちづくりの柱の一つに据える「市文化芸術基本条例」を制定したことを踏まえ、組織体制を強化し、多様なニーズに応えていく狙いもある。
両公財とも先月から今月下旬にかけて臨時の理事会・評議員会を開催し、新法人の概要、事業計画などを承認。丸山市長は「組織体制を強化し、市と一体となって入館者増につなげていきたい。市内外の美術館などとのネットワークを構築し、より面白い企画展示ができたら。学芸員をはじめ計画的な人材育成を図っていきたい。将来的には新法人が市の文化芸術の要となって各種事業を展開していけたら」と話した。
統合に合わせ、これまでは通称だった「土門拳記念館」を正式名称にするという。「37年もの歴史を積み重ねてきた記念館。定着しており、広くアピールできる環境を構築したい」(丸山市長)。
2020年(令和2年) 8月28日(金)付紙面より
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高校野球平田杯の主催関係者が王貞治さん(80)=福岡ソフトバンクホークス会長=から高校球児を励ます色紙を書いてもらい、26日鶴岡東高を訪れ、齋藤哲校長、鈴木喬主将(3年)に贈呈した。「野球に学ぶ!」という言葉が額装されたもので「世界の王さんからの言葉。校内で相談して、しかるべき場所に飾りたい」と齋藤校長は感謝した。
庄内地方の高校野球シーズン到来・球春を告げる平田杯は毎年4月開幕されるが、今年はコロナ禍のため、94回大会を中止せざるを得なかった。太平洋戦争中の3回を除いて続けられてきた歴史と伝統を誇る大会だけに「何か球児を励ます方法はないか?」と同杯の創始者・平田吉郎氏の孫・宏さん(83)=東京在住=らが王さんへの依頼を発案、打診したところ、快諾された。「野球は多くのことを教えてくれる。やめた後でも長い人生に必ず役に立つと話しておられた。その精神が表れた言葉ですね」と宏さん。春季大会に出場予定だった庄内地区11校に全て贈られることになった。
王さんにとって、古巣・巨人軍が戦前、吉郎氏に招かれ沢村栄治、スタルヒン両投手、水原茂選手らが鶴岡でプレーしたことや鶴岡東卒業生・吉住晴斗投手(20)はソフトバンクの17年ドラフト1位指名、また長谷川勇也外野手(35)=酒田南高出=の存在もあって“庄内球児”への親しみがあったようだ。贈呈式に出席した鈴木主将は「王さんからの言葉を胸に刻みたい。甲子園では“本当に忘れられない景色を体験できた”と部員同士、今も話し合っています」と、日本航空石川に5―3で勝った16日の交流試合を振り返っていた。