2020年(令和2年) 9月9日(水)付紙面より
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健康食品として注目されているシソ科の植物「エゴマ」の葉の収穫作業が8日、鶴岡市下山添の転作田で行われ、市内の障害者施設の利用者たちが就労の一環で1枚ずつ丁寧にもぎ取った。餅やうどんに練り込んだり、今後収穫する種は「エゴマ油」にして販売し、農業の活性化や障害者の就労支援などにつなげていく。
エゴマの栽培と活用は、2017年7月に設立した農業法人「庄内野の風ファーム」(同市播磨)が同年度から、県の補助事業で搾油機を導入し、始めた。耕作放棄地・転作田の有効活用や新たな特産品開発による農業振興、障害者・高齢者の就労支援など多面的な効果を狙うもの。
既にエゴマ油は販売しているほか、昨年度は市の中小企業ものづくり補助金の採択を受け、エゴマの葉や種の搾りかすを入れた餅やうどんなどを試作。本年度は同市下山添地区の転作田約1ヘクタールに作付けし、本格的に加工品を生産・販売する方針だ。
この日は、同市のNPO法人やすらぎ会の障害者就労継続支援B型事業所あけぼの(西新斎町)、同きらり(日枝)の利用者6人とスタッフら計10人が参加。ほ場に入り、葉を1枚ずつ丁寧にもぎ取った。
エゴマの油には、健康や美容に効果があるといわれる必須脂肪酸「α‐リノレン酸」が豊富に含まれている。葉にも同様の成分が含まれ、特有の香りがある。同社では市内の加工業者や製麺業者と連携し、餅には冷凍にしたものをそのまま、うどんには乾燥・粉末化したものや、種の搾りかすをそれぞれ練り込むなどして加工品を製造する。
同社の佐藤伸和代表(70)=同市下山添=は「農業は、食品加工や福祉などと連携することで、新たな特産品や仕事を生み、地域貢献できる。そういう新たな可能性を広げることで、担い手確保にもつながるのでは」と期待している。
葉は今後3―4回、来月下旬には種も収穫する。エゴマ油は既に同市の産直あぐり(西荒屋)、産直あさひ・グー(下名川)で50グラム入り1500円前後、100グラム入り3000円前後で販売している。餅やうどんは11月中旬ごろから、市内の産直や同社の関連会社「庄内の恵み屋」のオンラインショップなどで販売する予定。問い合わせは庄内野の風ファーム=電0235(57)5331=へ。
2020年(令和2年) 9月9日(水)付紙面より
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鶴岡市の大山小学校(宮野弘校長)で8日、1年生57人がだだちゃ豆の1系統「尾浦」の収穫を体験した。全国で展開されている食育プログラム「大豆100粒運動」の取り組みの一環で、校内の菜園で大きく育った枝豆に児童たちは「抜けない」「実がいっぱい」と笑顔を見せた。
同運動は、子どもたちに命の尊さや食べ物の大切さを教えるとともに、国産大豆の復活と日本の食文化の正しい伝承などを目的に、料理研究家で随筆家の辰巳芳子さんが提唱し、全国の小学校などで取り組まれている。同校は辰巳さんと親交がある「つけもの処本長」(同市大山一丁目)の本間光廣会長(74)の提案で、2015年から継続して活動している。今年は、6月1日に1年生が種をまき、約3カ月間水やりなどして育ててきた。尾浦は大山地区で育種され、地元の古い地名を付けた枝豆。
収穫を迎えた8日、本間さんが訪れ、「こんなに立派に育ったのは、皆さんが一生懸命に育ててくれた結果。命の大切さを学んで、種を次の1年生につないでほしい」とあいさつ。児童たちは自分の肩ぐらいまで伸びた枝豆を1人2株ずつ収穫。根がしっかり張ってなかなか抜けない株もあり、先生たちに手伝ってもらう姿もあった。
蛸井海晴君(6)は「抜くのが大変だったけど、いっぱい実があってうれしい」と笑顔で話した。
2株のうち1株はゆでて給食で食べ、もう1株は自宅に持ち帰り。収穫せずに残したものは成熟させ、大豆からきな粉を作ったり、来年の1年生につなぐ種にするという。