2021年(令和3年) 7月3日(土)付紙面より
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鶴岡市の県立鶴岡南高(坂尾聡校長、全日制生徒588人)の創立133周年記念式典と記念講演が1日、同市の荘銀タクト鶴岡(市文化会館)で開かれ、同校OBで東北大副学長・大学院理学研究科教授の山口昌弘さん(58)が「量子の世界に魅せられて」と題して講演した。
山口さんは朝暘一小、鶴岡三中卒で、鶴岡南高1981(昭和56)年卒(第88回)。東京大理科1類に進学し、物理学を志し理学部物理学科を卒業。同大大学院理学系研究科博士課程修了。米国ノースカロライナ大博士研究員、独ミュンヘン工科大客員研究員などを経て、2003年から東北大大学院理学研究科教授。東北大では総長特別補佐など歴任し、18年から教育改革・国際戦略担当の副学長を務めている。研究分野は素粒子論。
母校の在校生を対象にした講演で山口さんは、17世紀のニュートンから20世紀のアインシュタインへと連なる量子論誕生の流れを紹介し、「青い空や夕焼けのあかね色、木々の葉の緑など普段何気なく見ているものが、20世紀になるまではなぜそうなるのかは分からなかった。量子学が進展して分かるようになり、量子論はデジタルカメラやスマホのカメラなど現在のさまざまなテクノロジーの基礎となっている」と述べた。
また、20世紀を代表する物理学者・ファインマンが来日した際の言葉も紹介。山口さんが大学院生のとき、先輩の院生が「先生、何が重要な問題でしょうか、何を研究すべきですか」と質問したのに対し、ファインマンは「君が面白いと思うことをやりなさい」と答えたという。山口さんは母校の後輩たちに「自分で面白いこと、夢中になれるものを見つけ、徹底的に究めて新しいものを見つけてほしい」とエールを送った。
創立記念式典には全日制の全校生徒が出席。坂尾校長が式辞、来賓の齋藤正志鶴翔同窓会長が祝辞を述べ、音楽部員が合唱で明治期から現在までの4つの校歌を披露した。