2021年(令和3年) 7月16日(金)付紙面より
ツイート
山形大農学部(村山秀樹学部長)と鶴岡市の街づくり会社「ヤマガタデザイン」(山中大介社長)は13日、包括的な産学連携推進に関する協定を締結した。
鶴岡市の同学部で、村山学部長と山中社長が「有機農業をはじめとする持続可能な農業の普及拡大及び地域社会の発展に資する」という目的、「知的資源、人的資源及び物的資源の活用」など連携内容を定めた協定書に署名した。
村山学部長は「持続可能な農業の普及拡大をメーンに、自然共生稲作や有機農業の取り組みなどで連携したい。抑草ロボットの共同研究は既に契約した」、山中社長は「農学部にはわれわれがビジネスを展開する上で足りない学術的な知識があり、いかに有機農業を研究してビジネスとして社会実装するかという流れの中で、相互補完の協力関係を築いていきたい」と話した。
山形大農学部はこれまで「川上から川下までの『食』の学際的研究・普及拠点の形成」を大きな柱に掲げ、食料自給圏の形成を目指す「スマート・テロワール構築プロジェクト」や、無肥料・無農薬で良食味の米を作る「自然共生稲作プロジェクト」など多彩なプロジェクトを展開している。
一方、ヤマガタデザインは「庄内から日本の地方都市の課題を解決するモデルを創出」を基本理念に、2019年には農業生産の「ヤマガタデザインアグリ」、農業用ハード開発の「有機米デザイン」の各関連会社を設立、20年4月からは鶴岡市の委託を受け市農業経営者育成学校「SEADS」を運営するなど、有機農業を重要な産業と位置付け事業展開している。
両者はこれまでも、山形大農学部を中心とする「地域定住農業者育成コンソーシアム」の「食と農のビジネス塾」が2000年度から、SEADSの学生の必修科目となるなど連携。今年4月には、有機米デザインが開発中の抑草ロボットに関して同学部と共同研究契約を結び、片平光彦教授(生産機械学)が抑草メカニズムの研究を進めている。協定により一層連携を強化し、「持続可能な農業」の研究と地域社会への実装を、相互補完的に進めていく。