2022年(令和4年) 3月30日(水)付紙面より
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清酒「初孫」の東北銘醸(酒田市十里塚、佐藤淳司社長)の日本酒が初めて酒田港から米国に輸出されることになり28日、記念式典が同市宮海の酒田海陸運送定温倉庫で行われた。佐藤社長は「初めて酒田港から出荷することができ、感激している。米国の愛飲者に満足してもらい、今後も市場を伸ばしていきたい」と述べた。
東北銘醸が醸造する「魔斬(まきり)」を中心とした日本酒は、パシフィック・インターナショナル・リカー(PIL、米国カリフォルニア州ロサンゼルス、田中純社長)が輸入・販売元となり、2000年から米国全土で販売。深みのある味と切れの良い後味、料理との相性の良さをセールスプロモーションし、若い世代を中心に好評を得、順調に市場を伸ばしている。田中社長によると、コロナ禍による外食機会の減少に伴って一時落ち込んだものの、量販店での販売に力を入れ現在、回復傾向という。
これまでは東京港、横浜港からの輸出だった。コロナ禍における世界的なコンテナ不足を背景に都市部の港湾からの輸出が滞っている現状を踏まえ今回、酒田海陸運送、PILの全面協力で、720ミリリットル入り1万4400本(6本入れ換算で2400ケース)を酒田港から初めて出荷することにした。
この日の式典には、東北銘醸、PIL、酒田海陸運送、国土交通省酒田港湾事務所、県港湾事務所、市などから約30人が出席。酒田港湾振興会長を務める丸山至市長が「『魔斬』がニューヨークの高級レストランで飲まれているというのは夢のような話。米国における市場のさらなる拡大を願ってやまない。今後、日本酒をはじめさまざまなものが酒田港から輸出され、発展することを願う」、佐藤社長は「自社製品を酒田港から輸出したいと長年思っており、夢が実現した。太平洋を無事に渡って米国に到着し、大勢の愛飲者から満足してもらえたらありがたい」とあいさつ。関係者が鏡開きを行った後、「魔斬」が40フィートコンテナに積み込まれた。
今月31日に酒田港を出港。定期コンテナ航路でまずは韓国・釜山港に向かい、ここで積み替えられた後、4月20日頃に米国・ロングビーチ港に到着する予定。田中社長によると、港湾業務従事者の関係で米国では現在、洋上で多くの貨物船が待機中という。「われわれの手元に届くのは早くて30日後。遅ければ50日はかかる」(田中社長)という。