2022年(令和4年) 7月20日(水)付紙面より
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鶴岡市宝田二丁目の和菓子職人・後藤麻利恵さん(36)=「おかしなおかしや」主宰=が、三川中生徒が粘土細工で作った和菓子を本物に仕上げた。三川町の「なの花ホール」で18日に行われたイベントに合わせて販売したところ、10分もたたないうちに4個入りの20箱(税込み1100円)が完売。人気の高さを示した。
「三川中生徒の粘土細工作品を本物にして食べられるようにしたら面白い」といった町民の意見を実現させようと、町観光協会が中心となって準備を進めてきた。和菓子作りは後藤さんに依頼。先月下旬、後藤さんと三川中で美術を教えている関矢彩佳教諭(35)が、現在の3年生が作った60点以上の中から候補作を厳選した。
選ばれた生徒作品は大瀧夏音(なつね)さんの「傘に落ちる雨」、五十嵐芽郁さんの「冬の空に咲く雪」、斎藤智乃さんの「菜の花畑」、齋藤世徠(せら)さんの「四季」と題した4つ。いずれも三川町の四季の移ろいをイメージしたもので、後藤さんがアレンジを加えながら忠実に再現した。
後藤さんは「生徒のイメージに沿うよう全体の構成や色合わせが難しかった。販売日直前に20箱分を一気に作るのも大変だった」と。それでも「今は充実感でいっぱい。追加注文の20箱も来月7日の販売日までにきちんと仕上げたい」と話す。
この日は、本物の和菓子販売を目当てに山形市内から訪れた女性も。あっという間に売り切れ、予約注文に回るお客さんの姿が続いた。売り場には、生徒の「原作」と後藤さんの「本物」が一目で分かるよう展示。「繊細でかわいらしい」「この次は買いたい」「中学生が作ったものとは思えないほどよくできている」「それを見て本物にしたプロの技術もすごい」といった声が聞かれた。今年の秋には、2年生の作品も本物にして販売する予定。後藤さんは「生徒たちも楽しみにしているので頑張ります」と笑顔を見せた。