2022年(令和4年) 7月29日(金)付紙面より
ツイート
JA庄内たがわ、JA鶴岡、鶴岡市、県庄内総合支庁農業技術普及課などで構成する「鶴岡田川地域グリーンな栽培体系推進協議会」は、庄内の果樹園で人の手がかからない草刈りロボットの実証実験を始めた。農作業の省力化と環境にやさしい栽培技術を図ることが狙い。農水省の「グリーンな栽培体系への転換サポート」に応募して採択された。2023年度まで2年にわたり庄内柿の畑などでロボットの草刈り効果を検証する。
草刈りロボットは三輪駆動式。農地の決められたエリアの中で自動的に雑草を刈る。バッテリー残量が少なくなると、あらかじめ設置された太陽光パネルの充電器に戻って充電する。充電完了後は再び農地で作業を始める。果樹の幹や杭に当たってもバックし、進路を変えて草を刈るという。
価格は本体が約50万円、太陽光パネルの充電装置が約16万円。今回、酒田市浜中と鶴岡市羽黒町のサクランボ畑など3カ所に本体と充電器を含む1セットずつ導入した。
このうち羽黒町川代山で平核無など3品種の庄内柿を栽培している齋藤節雄さん(68)=羽黒町増川新田=方の農地では、今月5日、試験的に導入。刈り取り面積は約30アール(75メートル×40メートル)で、晴れた日は1日当たり6?9時間(充電回数は7、8回)稼働した。
齋藤さんは「きれいに草を刈ってくれて驚いた。部屋の自動掃除機をイメージすればわかりやすいと思う。それと同じようなもの。自分自身、1日かけて草を刈っていた労力がカットできる。効果は大きい」と話す。
草刈りロボットは、農地に埋めた誘導線の内側を動く。別の農地に誘導線と充電器を備え、ロボット本体を移動させれば交互に草刈りができる。盗難防止のため指定されたエリア外では全く動かない仕組みとなっている。
26日には、庄内柿振興協議会(遠藤幸男会長、会員約40人)のメンバーが現地を視察。齋藤さんの説明を受けながら草刈りロボットの作業状況を見学した。
齋藤さんは「課題と言えば1日2、3回農地に出てロボットの状況を確認するくらい。もちろん、雨の日の稼働時間は落ちるが、晴天の日と平均すればそれほど気にならない」と説明。
県庄内総合支庁農業技術普及課では「実証実験は始まったばかり。今後、試験的に導入した協力農家の意見を聞きながら草刈りロボットの効果を明らかにしていきたい」と話している。