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2022年(令和4年) 7月30日(土)付紙面より

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JR東日本 羽越本線 村上―鶴岡赤字49億円

35路線66区間の収支を初公表
庄内地域は3区間存続へ危機感

 赤字が続く地方鉄道の今後の在り方が課題となる中、JR東日本は28日、地方路線のうち、利用者が特に少ない35路線66区間の収支を初めて公表した。収入から費用を差し引いた収支は、いずれの区間も赤字だった。庄内地域関連では羽越本線の村上(新潟県)―鶴岡間と酒田―羽後本荘(秋田県)間、陸羽西線の新庄―余目間の3区間が赤字で、村上―鶴岡間は公表区間のうち赤字額が最大の49億900万円(2019年度)だった。JRは公表結果を基に、持続可能な交通体系について沿線自治体などと議論する方針を示している。庄内地域の関係者からは、路線存続に対する危機感や利便性低下への懸念とともに、利用拡大に向けた取り組みの必要性への声が上がった。

利用拡大が不可欠

 JR東日本が公表した66区間は、コロナ禍の影響が比較的小さかった19年度、1キロ当たりの1日の平均利用者数を表す「輸送密度」が2000人未満の路線。赤字額は羽越本線村上―鶴岡間が最大で、酒田―羽後本荘間は27億1100万円と3番目だった。両区間とも、赤字区間の中では営業距離が比較的長く、その分営業費用がかさむといったことも影響している。陸羽西線新庄―余目間の赤字額は6億9300万円。100円の運輸収入を稼ぐのにどれだけの費用がかかったかを表す「営業係数」は、村上―鶴岡間815円、酒田―羽後本荘間1204円、新庄―余目間1127円。同係数が最も高かったのは久留里線の久留里―上総亀山間(千葉県)の1万5546円だった。

 県内関連の他の公表路線と19年度の赤字額は▽左沢線寒河江―左沢間2億8900万円▽奥羽本線新庄―湯沢間17億5900万円▽米坂線の米沢―今泉間5億6100万円、今泉―小国間8億1700万円、小国―坂町間4億6600万円▽陸羽東線の鳴子温泉―最上間4億4300万円、最上―新庄間5億4100万円。

 国土交通省の有識者会議は今月25日、輸送密度が1000人未満の路線について、国と自治体、鉄道事業者が存廃を協議する仕組みを設けるよう提言した。28日の記者会見でJR東日本の高岡崇執行役員は、66区間の公表に関し「地方路線の厳しい経営状況を各自治体に理解いただき、議論するために公開した」と語った。

 今回の公表で赤字額最大の区間があるなど、厳しい経営状況が示された羽越本線。皆川治鶴岡市長は「羽越本線は、通勤、通学などの日常生活に密着し、観光やビジネスでの利用においても地域にとって不可欠な重要路線。今般の情報開示を踏まえつつ、引き続き沿線の自治体などと連携し、利用促進を図っていく」、丸山至酒田市長は「今回の発表は路線区の実態を見てもらうことが趣旨とうかがっている。羽越本線の酒田―羽後本荘間については厳しい現実を事実として受け止めざるを得ない。市として沿線市町と共に鳥海山・飛島ジオパークなど地域の観光資源の磨き上げに努め、利用促進につなげていきたい」とそれぞれコメントした。

 陸羽西線は5月から、国道47号「高屋道路」のトンネル工事に伴う長期運休で、代行バス運行が行われている。富樫透庄内町長は「陸羽西線は観光路線として大きなポテンシャルを秘めた路線。路線維持のため、代行バス期間中も引き続き、関係方面と連携を図り、前向きに利用促進に取り組む」とコメントした。

収支が公表された路線の一つJR羽越本線=29日午前、鶴岡市大塚町
収支が公表された路線の一つJR羽越本線=29日午前、鶴岡市大塚町



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