2022年(令和4年) 7月30日(土)付紙面より
ツイート
文部科学省が4月に実施した「全国学力・学習状況調査」(全国的な学力調査)の結果が29日に公表された。小学6年生と中学3年生を対象としたもので、本県の平均正答率は小学生が国語と理科で全国平均と同程度だったものの、算数は下回った。一方、中学生は全ての教科で全国平均を上回った。県教育委員会は「特に中学生の数学は、証明問題などで根拠に基づいて筋道を立てて説明できる力が付いてきた。しかし小学生の算数は記述する力や説明する力に課題が残った。学力向上に向けた取り組みをさらに充実させる必要がある」と述べた。
学力調査は4月19日に実施された。県内では小学校226校(義務教育学校前期課程3校、特別支援学校小学部2校を含む)の児童約8000人、中学校95校(義務教育学校後期課程3校、特別支援学校中学部2校を含む)の生徒8000人余りが参加した。小学生は国語と算数、理科、中学生は国語と数学、理科の各3教科。理科は2018年度以来4年ぶりの調査で、19年度から国語、算数・数学ともA問題(知識・技能に関するもの)とB問題(活用に関するもの)を一本化した。
平均正答率の公表方法は、競争をあおらないようにする目的から、17年度から各都道府県分は小数点以下を四捨五入した数値(整数値)としている。
調査結果を全国の平均正答率との比較で見ると、本県の小学6年生の国語は65%で全国比マイナス1・1?マイナス0・2ポイント。算数は61%でマイナス2・7?マイナス1・8ポイント。理科はマイナス0・8ポイント?プラス0・1ポイントとなった。一方、中学3年生は国語が70%で全国比プラス0・5?1・4ポイント。数学は52%でプラス0・1?1・0ポイント、理科はプラス0・2?1・1ポイントだった。
県教委は国語について「小学校は基礎的な力が身に付いている一方で、互いの意見の共通点や相違点、利点や問題点などを踏まえ、自分の考えをまとめることに課題が見られた。中学校は自分の考えが伝わるよう根拠を明確にして書く力が付いてきたが、登場人物の心情の変化を捉えることに課題があった」と分析した。
一方、算数・数学については「小学校はコンピューターを用いて図形を作図する際、図形の意味や性質の理解、構成の仕方の考察などに課題があった。中学校は事柄が成り立つ理由について根拠を明確にして説明する力に改善が見られた」とした。
また、理科については「小中学校ともに、モデルを基に化学反応式で表す知識や技能が身に付いている。一方で小学校は問題に対するまとめを検討して自分の考えを持つこと、中学校は観測データを天気図と関連付けて天気の変化を分析し解釈することにそれぞれ課題が見られた」と分析した。