2022年(令和4年) 9月15日(木)付紙面より
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庄内浜でも水揚げされる低利用魚のカナガシラの消費拡大を図るカナガシラ研究会が13日、鶴岡市三瀬の県栽培漁業センターで開かれた。栄養素や効能などカナガシラの隠れた特性について、地元の料理人などが学んだ。
鶴岡食文化創造都市推進協議会が取り組む「魚のおいしいまち鶴岡キャンペーン」の一環として企画した。同キャンペーンは低利用魚を含む地魚の消費拡大や評価向上を目的としており、今回は低利用魚の中でも昔から鶴岡市民の間で食べる風習があるカナガシラをピックアップ。同市内の飲食店などで料理として提供できるよう研究する機会を設けた。
第1回会合には鶴岡市内の料理人や水産物・加工品等卸売の丸魚(天童市)の関係者など10人が参加。県水産振興協会の余語滋業務部長が講師となり、カナガシラの特性について講話した。
余語部長は「鶴岡市では昔から『産後にカナガシラのみそ汁を飲むと母乳の出が良くなる』と言われ、産後の滋養を高める食材として扱われている。硬い小骨があり、食べる部分が少ないため食材としての評価は低いが、白身で味も良く新鮮なら肝もおいしい」と説明した。
また、同じ白身魚のマダイやヒラメと栄養価を比較したところ「カナガシラはマダイと比べてビタミンB12が約2倍、ビタミンB2が約3倍高く、ヒラメと比較してもB12 が2倍ほど高かった。B2、B12とも赤血球や抗体の生産に関わっており、水溶性のビタミンでもある。みそ汁にすると良い成分が出るのかもしれない」と話した。
その後の質疑応答では、参加者からの「加工用として期待できるのか」といった質問に対し、余語部長は「練り物として加工している地域がある。スケトウダラが世界中で奪い合いになっている現状を考えると、カナガシラを代用にする動きがあっても良い」と答えていた。
第2回会合は今月27日に鶴岡市由良コミュニティセンターで開催し、カナガシラ料理の実習が行われる予定。
2022年(令和4年) 9月15日(木)付紙面より
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昨年暮れに鶴岡市由良沖で保護されたウミガメ(タイマイ)が、加茂水族館(奥泉和也館長)で順調に回復している。来館者の関心も高く、幼い子どもを連れた家族は「早く海に戻れる日が来るといいね」と見守っている。
庄内の海岸には、対馬海流に乗って北上し庄内沖まで来たものの、冬の低水温で動けなくなり打ち上げられてしまう(ストランディング)ウミガメがいる。加茂水族館では、地元の漁師や住民が見つけた個体を保護し、体力が戻るまで飼育している。
この10年間で保護されたのは13匹。種類はアオウミガメやタイマイで、その多くが子どものウミガメという。十分に体力が付いたと判断された時、海水温が高い時期を見計らって沖合に放している。
昨年は1年間で3匹保護された。このうち2021年12月7日、由良沖で漁師が仕掛けた網にかかったのは体重7・1キロのタイマイの子ども。冬を迎えて水温が下がり、動きが取れなくなってしまったらしい。「網から外して海に放しても死んでしまう」と漁師が加茂水族館に連絡した。
担当の飼育員が毎日夕方1回、アジやホッケを解凍して食べやすい大きさに身を切り、エサとして与えている。来館者が分かるように水槽のわきには「ストランディングの記録」としてこれまで保護されたウミガメの種類や体重、見つかった場所(鶴岡市湯野浜、加茂、米子、酒田市浜中など)を記している。
飼育課の廣瀬南帆さんは「水温は冬でも20度を下回らないよう保っている。今は、このまま無事に海へ放す時期が迎えることを願うだけ。海の環境を守る大切さと、自然界で生きるウミガメの生態について関心を持っていただければうれしい」と話していた。
2022年(令和4年) 9月15日(木)付紙面より
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蓮池 未奈(はすいけ みな)さん
本年度の白甕社美術展(8月31日?9月11日、鶴岡アートフォーラム)・一般の部で最高賞の白甕社賞を受賞した。高校生が同賞を受賞するのは4人目で、鶴岡南高生としては初めて。「こんな大きな賞を自分がもらって良いのかと思ったが、今後の自信につながる」と喜びを語った。
美術部所属の2年生。1年時の校内展で自分に納得がいかないまま出品し、それ以来スランプに陥っていたという。「ずっと創作意欲が湧かなくて、7月になってやっと筆を握った」とはにかむ。「絵画教室の先生に勧められ初めて白甕社展に出品して、まさか最高賞をもらえると思わなかった。まだ実感が湧かない」。
今回の受賞作「虎子」は80号と50号のキャンバスで構成。大キャンバスは鉛筆デッサンの自画像を部分的に切り出し貼り付けた「コラージュ」の技法を用い、その下の小キャンバスには油彩で描いた抽象画を置いた。
「作品全体として進路などへの不安を表現した。小キャンバスの抽象画は部屋で横たわる自分の姿をイメージしている」と話す。10代のきらめくような感性が込められた作品は、審査会で「表現の基本であるデッサンを重視しながら、それ以上の何かをつかみ取ろうとする探求心や野心を感じさせる」「若い今だから描ける、今しか描けない作品」と高い評価を受けた。
高校生になって、より多くの絵画に触れる機会を得て思うことは「技術的なものも含め、自分はまだまだ足りないものがたくさんある。もっと頑張らないといけない」。将来の夢はまだ固まっていない。「今はとにかく絵を描き続けたい。美術大に進み、自分の道を探っていければ」。その瞳には無限の可能性が映っている。
よく観る映画のジャンルはミステリー系。伏線が隠されているストーリーが好きという。鶴岡市宝田一丁目在住の16歳。