2022年(令和4年) 10月25日(火)付紙面より
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鶴岡市下川の西郷小学校(本間活人校長、児童92人)の6年生が22日、同校体育館で「三方領地替え」をテーマにした創作劇を披露した。
酒井家庄内入部400年を記念し、庄内藩、長岡藩、川越藩の藩主を入れ替える幕府の命令「三方領地替え」(1840年、天保11年)を阻止した民衆の思いを今に伝えようと6年生男女21人が9月から毎週4時間の練習を重ねてきた。「三方領地替え」では、西郷組の本間辰之助を中心とする人たちが、庄内の農民の中で最も早く行動を起こしたといわれる。西郷地域に対する誇りと愛着を持ってもらうことも狙いにした。
発表会には酒井家19代後嗣の酒井忠順さんを招待。ステージに登場した子どもたちは「おれがだの殿様(酒井忠器公)だ。他の土地さ行がせらいね」「違う殿様なれば年貢の取り立てが厳しぐなるだけだ」「何とがしてやめさせねば」「江戸城さ行くぞ」と庄内弁を使って農民の強い結束力と行動力を表現し、集まった父母たちの目を舞台に引き付けた。
本間辰之助役を演じた本間豪君(11)は「本間辰之助は勇気のある人。今日はみんなで練習してきた成果を出せたと思う。これからも西郷という私たちの地域を大切にしたい」と話した。
創作劇を観賞した酒井さんは「児童たちの演技はとても素晴らしかった。武力を使わずに阻止した民衆の団結力や農民の思いが伝わり、涙が出る思いがした。10カ月の歴史的な背景をよく調べて上手に舞台構成したと思う」と感想を話した。
創作劇は動画として残し今後、後輩の児童が歴史や地域を学ぶ学習に役立てる。
2022年(令和4年) 10月25日(火)付紙面より
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黒森歌舞伎特別公演
酒田市黒森地区に伝わる農民芸能・黒森歌舞伎(県指定無形民俗文化財)の特別公演が23日、同地区の日枝神社常設演舞場で上演された。正月公演は新型コロナウイルスの影響で2020年以降、中止・延期が続き、特別公演として約2年半ぶりに開催。待ちかねた歌舞伎ファンが同演舞場に詰め掛け、役者が大見えを切ると大きな拍手が送られていた。
黒森歌舞伎は約280年前から地区住民による妻堂連中(五十嵐良弥座長)が黒森地区の鎮守・黒森日枝神社の神事の一環として連綿と受け継いできた。正月公演は寒さの厳しい2月中旬に上演されることから「雪中芝居」と呼ばれる。新型コロナウイルスの感染防止から20年の正月公演を最後に中止、延期が続いていた。
演じられた本狂言「本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)」は06年以来16年ぶりの上演。戦国時代の武田家と上杉家の争いの中、軍師・山本勘助の2人の息子の確執、八重垣姫と武田勝頼との縁組み、美濃のマムシと呼ばれた斎藤道三の話など全五段構成。今回は三段目「山本勘助住家の場」と四段目「謙信舘十種香の場」が演じられた。
この日は時折雨が降るあいにくの天気となったが、演舞場の見物客を250人に限定するなど感染対策を行った上で上演。見物客は役者たちの力強い演技や大立ち回りの姿に引き込まれるように見入っていた。五十嵐座長(64)は「公演をしていない間、役者も声が出ない、道具もさびているなど一つ一つ直しながら特別公演の準備を進めてきた。皆一丸となって必死に仕上げた」と感慨深げに話していた。
近くの黒森小学校体育館ではパブリックビューイングが行われ、歌舞伎ファンが役者の熱演を楽しんだ。