2022年(令和4年) 11月23日(水)付紙面より
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第65回高山樗牛賞授賞式が21日、鶴岡市のグランドエル・サンで行われた。本年度の樗牛賞は該当者がなく、小中高校生を対象とした奨励賞を受賞した3人へ表彰状などが贈られた。
高山樗牛賞は、庄内が生んだ明治の文豪・高山樗牛(1871―1902年)の偉業を顕彰するとともに、地方文化の向上などを目的に鶴岡市教育委員会が1958年に制定した。樗牛賞の該当者なしは4年ぶり9回目。児童生徒対象の同奨励賞は2003年に設置され、今回は小中学生の部で亀ケ崎小6年の齋藤里恋(りこ)さん(12)と朝暘二小6年の齋藤文音(あやね)さん(12)、高校生の部は酒田東高3年の若生真衣(まい)さん(17)がそれぞれ受賞した。
授賞式には受賞者と学校関係者、選考委員、来賓など約30人が出席。布川敦教育長が受賞者に表彰状とメダル、受賞者が在学する各校へ記念の盾をそれぞれ手渡した。式後、受賞者がそれぞれ自分の作品を紹介するとともに「栄誉ある賞に自分が選ばれると思わなかった。今後も文芸活動を続けていきたい」などとスピーチした。
齋藤里恋さんは童話「鬼ガラス」を創作。主人公のカラスが友情や人と交わることの大切さを知り、成長していく姿を描いた。昨年のENEOS童話賞小学生以下の部で優秀賞を受賞しており、豊かな表現力と構成力が高く評価された。
齋藤文音さんはコロナ禍を機に新聞を読むようになった。受賞作の新聞感想文「新聞と私の対話『日々是文音』」は数社の記事の比較や感想、要約など多様な読み方をし、物事を広く捉え表現力を高めようという姿勢がうかがえる。
若生さんは文芸部に所属し、詩や小説などの創作に取り組んできた。受賞作の詩「空を見上げて」は学校を出てすぐの空と、自宅に着く頃の変化を詠んだ。日々の考えや思いが繊細な言葉で表現され、豊かな感性と表現力が評価された。