2023年(令和5年) 2月22日(水)付紙面より
ツイート
酒田市の酒田青年会議所(酒田JC、荒生卓真理事長)が主体となって活動し、長く酒田まつりのシンボルとして定着していたものの、老朽化などで解体が決まった立て山鉾(やまぼこ)。一般公開が19日、酒田地区広域行政組合消防署西分署跡地の倉庫で行われ、訪れた人が山鉾との別れを惜しんだ。
最後の一般公開思い出振り返る
立て山鉾は「山王祭(現酒田まつり)に山鉾あり」といわれた当時の姿を復活させようと、酒田JCが1996年に高さ6メートル、2008年には同20メートル超の移動する立て山鉾を制作、多くの祭り客の目を引き、祭りの目玉の一つとなっていた。
現在の高さ22・36メートルの立て山鉾「本丸」は14年に作られた3代目。当時のJCメンバーで酒田まつり実行委員長を務めた佐藤弘典さん(46)を中心に、看板制作などを行う第一企画デザイン事務所の住石明彦さん(64)らがデザインした。作業には市内の中・高生も加わり、多くの市民の協力を得て完成させた。
その後も修復やデザインの改良を重ね、18年には山形経済同友会制定「第1回未来かがやくやまがた景観賞」で奨励賞を受賞するなどの功績を重ねたが、20年以降はコロナ禍の影響で神事以外の祭り行事が中止。昨年は鉄骨部分が傷んでいたため組み立てを断念していた。今後も老朽化により安全面を確保できなくなったことや、継続的な保管場所がないこと、管理・組み立て費用が多額にかかることなどから、持続的な設営・管理ができないと判断し、今月1日に解体決定を発表した。
最後の公開となったこの日は朝から雨が降る中、祭りに携わった酒田JCのメンバーやOBが西分署跡地の倉庫を訪れ、「竜の下腹部にもぐって紙を張り付けた」「色にこだわってもめたこともあった」「動いた時は感動した」と立て山鉾の思い出を語り合った。元JCメンバーで第48代理事長の櫛引柳一さん(46)は「制作した時や祭りの時の思い出が多く詰まっている。立て山鉾の象徴だった龍の頭部は自分で借りたガレージへ持っていくので、いつか子どもたちに見せる機会を作りたい」と話した。
解体は20日から手作業で行われ、2日ほどで終了する予定。