2023年(令和5年) 3月24日(金)付紙面より
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多くのベンチャー企業を輩出している鶴岡サイエンスパークと、庄内地域の企業との連携を考える「鶴岡未来づくりシンポジウム」が22日、鶴岡市のグランドエル・サンで開かれた。慶應義塾大先端生命科学研究所の所長を3月末で退任する冨田勝氏(一般社団法人鶴岡サイエンスパーク代表理事)による基調講演や、先端研発ベンチャー企業関係者などによるパネルディスカッションが行われ、サイエンスパークを核とした未来像を語り合った。
冨田氏講演公益大「公立化」訴える
鶴岡サイエンスパークは2001年の開設以来、多くのベンチャー企業が誕生しスケールを拡大している。21年には地域企業との連携強化を目的に、一般社団法人「鶴岡サイエンスパーク」が設立。地域全体の活性化に向けた体制づくりが進められている。今回のシンポジウムは鶴岡商工会議所が主催し、地元企業関係者や市民など約120人が参加した。
基調講演で冨田氏は「鶴岡サイエンスパークの事業戦略」と題し、「日本はペーパー試験や偏差値などで“優秀”が決まるため、学生たちは仕方なく受験勉強を続けてきた。ペーパー試験で優秀だった大人が日本のかじ取りを始めてどうなったか。G7の中で日本だけ経済成長できない状態が30年近く続いている。教科書に書いてあること以外が分からず、イノベーションを起こせないからだ」と指摘した。
さらに「慶應義塾大総合政策学部初代学部長の加藤寛氏は『こんな教育を続けたら日本人はみんなバカになる』と述べ、国内初のAO入試を導入した。高校生が貴重な10代の時間を受験勉強に費やすのはもったいない。人物そのものを評価するAO入試は今や過半数の大学で行われている。ねじり鉢巻きでのガリ勉は時代遅れだ」と述べた。
また、致道館高校や東北公益文科大の公立化について「2年後に開校する致道館高校にはAOに特化したクラスの創設や各企業による特別研修生の受け入れを実施してもらいたい。公益学はSDGsそのものであり最先端の実学と言える。公立化は大チャンス」と話した。
その後のパネルディスカッションでは冨田氏がコーディネーターとなり、鶴岡シルク代表取締役の大和匡輔氏、スパイバー取締役兼代表執行役の関山和秀氏、資生堂研究員の鴛渕孝太氏、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの松田りら氏、鶴岡商工会議所会頭の上野雅史氏の5人がパネリストとなって、鶴岡・庄内の「本物志向」やデジタル化戦略などについて意見を交わした。