2023年(令和5年) 4月16日(日)付紙面より
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酒田市に江戸時代から伝わる土人形「鵜渡川原(うどがわら)人形」の保存・伝承に取り組む「鵜渡川原人形伝承の会」(高瀬靖会長)は、土人形や傘福のいわれなどをまとめた冊子「山形庄内の土人形&傘福(保存版)」を出版した。
鵜渡川原人形は江戸時代末期、旧鵜渡川原村(現在の酒田市亀ケ崎)で鋳物工場を営んでいた大石助右ヱ門が作り始めたとされる。地名から「鵜渡川原人形」と呼ばれ、庶民の暮らしに息づいた手作りの人形として親しまれている。
冊子はフルカラーで、鵜渡川原人形の歴史や種類のほか、江戸時代後期から鶴岡で作られ、現在は廃絶しているという「瓦人形」、酒田の広田地区で作られていたが、途絶えてしまった「広田人形」を紹介。また、女性たちが子授けの願いを込めて神社に奉納したという傘福のいわれを記した紙芝居「傘福の願い」を掲載し、より深く理解してもらうため、挿絵だけでなく実際の写真も添えた。
冊子は100部製作。A4判、48ページ。国立国会図書館、庄内の各図書館、県内の美術館、大学などに寄贈した。鵜渡川原人形職人で同会アドバイザーを務める本間光枝さんは「研究職などに正しい資料として活用してもらい、理解を深めてもらえれば」と話している。