2023年(令和5年) 4月18日(火)付紙面より
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今話題のチャットGPTに庄内の観光事情について聞いてみた。まず、一問目は「日本の酒田市の観光資源は何ですか。」と聞いてみた。
紙面の都合で全部は掲載できないが、半分以上は事実誤認であった。一例を挙げればこんな感じである。
「酒田川‥酒田市を流れる酒田川は、美しい景観が魅力の川で、船上からの景色を楽しめます。特に、桜の季節には桜並木が美しく、多くの観光客が訪れます。」酒田川とはどこにあるのだろうか。
「芭蕉記念館‥芭蕉記念館は、俳句の巨匠、松尾芭蕉が生まれた場所に建てられた記念館で、芭蕉の生涯や作品を展示しています。」記念碑はあるが記念館はない、ましてや生まれてはいない。
同じように「日本の鶴岡市の観光資源は何ですか。」と聞いてみた。これも酒田市ほどではないが事実誤認がひどい。
「最上川‥最上川は、鶴岡市を流れる川で、清流や渓谷美が魅力です。最上川の周辺には、遊覧船や釣りなどのアクティビティもあります。」と答えてきた。
また「山寺‥山寺は、国宝に指定された古刹で、禅宗の寺院として知られています。特に、秋には紅葉が美しく、多くの観光客が訪れます。」と答える。もちろん、最上川も山寺もいずれも鶴岡市の観光資源ではない。しかも山寺は国宝でも禅宗でもない。
現状のチャットGPTはこの程度であるが、知らない人が読めばなるほどと納得してしまう。つまりそれほど自然な日本語で応えてくれるのだ。さらには現在は11億のデータベースがあるというがこのデータ数は日ごとに増えているようだ。いくつかの質問パターンを異なる日に試してみたがそれなりに異なった答えが返ってくるようだ。今日の答えは間違っていても明日の答えは正しい可能性があるのだ。それが、このAIの恐るべきところだ。
イタリアでは使用を規制するというし、海外のある専門家チームは半年間の使用停止を提起している。日本の文部科学省も利用のガイドラインを設けるという。当然だろう、夏休みの読書感想文はもうチャットGPTが作ってくれるのだといっても過言ではあるまい。取材を必要としない記事などもつくってくれるだろうから新聞記者やライターには脅威になるときがくるだろう。
なお、現状は英語で質問すると情報量は少なくなるが比較的正しい答えが返ってくるようだ。推測するにデータ収集は英語を中心に行われているのではないか。そのデータを自然な日本語に変換し出力するときに自然言語生成を優先するあまり中身の正誤がおろそかになるのではないか。ただいずれこの状態も解消されると考えたほうがいい。
社会全体でAIの使い方についてよく考えるべきときがきたように思われる。思ったより早い。(なお、使用したのはオープンAI社の無料WEB版である)