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2023年(令和5年) 4月20日(木)付紙面より

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つるおかコンポスト 全国から熱い視線 肥料高騰やSDGsの取り組み 鶴岡浄化センターの下水道資源有効活用

 下水道資源の有効利用を進めている鶴岡浄化センター(鶴岡市宝田三丁目)の取り組み「ビストロ下水道」が全国の自治体から注目を集めている。中でもロシアのウクライナ侵攻を端に発した肥料高騰の背景を受けて有機質土壌改良材「つるおかコンポスト」に熱い視線が注がれている。視察団からは「つるおかコンポストが地元でよく消費される理由は」といった質問が多いという。浄化センターの担当者は「視察団からは、すでに40年近く前から循環型社会を実践している点が驚かれる。肥料高騰が続いているが基本的に『つるおかコンポスト』は地元に還元することを大切にしている。今後も下水道資源の有効活用を進めていきたい」と話している。

 浄化センターで「つるおかコンポスト」の製造を始めたのは1986(昭和61)年。汚泥の処分方法を調査・研究した結果、汚泥全量を緑農地に活用できる可能性を確認した。植物の成長に必要な三大栄養素(窒素・リン酸・カリウム)が豊富に含まれる汚泥を発酵させて畑作や家庭菜園などに使う土壌改良材を生み出した。山形大学農学部とJA鶴岡など産学官連携で製造―販売まで軌道に乗せ年間約500―600トン生産している。価格は10キロで330円、農家用の350キロは1650円(いずれも税込み)。透水性や通気性、団粒の増加に優れた効果を発揮し、農家からは「安全で品質もいい」と評価を受けている。現在の課題は製造施設(鶴岡市コンポストセンター)の老朽化。鶴岡市は本年度から浄化センターの敷地内で新施設の建設計画を進める。

 浄化センターによると2022年度に視察に訪れたのは国土交通省、農林水産省、北海道、秋田県、新潟県、愛知県、岐阜県など17団体。視察の目的は▽ポテンシャルを最大限生かした循環型社会の形成を目指したい(福島県西郷村下水道課)▽コンポストの製造販売や処理水を使った飼料用米の栽培など、すべてにおいて興味がある(北九州市)▽うちとしても下水汚泥の農業利用を検討していきたい(北海道滝川市農政課)―など。自治体の視察団のほかに「下水道資源を使ってアユ養殖に取り組んでいる『ビストロ下水道』全般について取材させてほしい」という全国版の新聞やテレビ局の問い合わせが相次いでいる。

 浄化センターの松浦正也所長補佐は「つるおかコンポストを軌道に乗せることができたのも山大農学部の先生の研究と指導、JA鶴岡の民間事業者の協力が大きい。行政だけではできないことが産学官の連携でうまく合致した。今後も鶴岡市から循環型社会の構築に向けた取り組みを全国に発信していきたい」と話す。下水道資源で養殖したアユの加工品(甘露煮と寒風干し)は今年の夏から一般販売を始める。

【つるおかコンポスト】
 下水汚泥に砕いたもみ殻を入れて発酵させた完熟堆肥。80度以上の高温で発酵するため、病原菌は死滅し不快な臭いもない。衛生的な堆肥として使えるのが特徴だ。計70日間発酵させて仕上げ、農作業が始まる春と土壌を豊かにする秋の年に2回転させている。生産したコンポストの約8割が農家用、残り2割がホームセンターなどで販売する家庭菜園用。ほかに小学校の畑作体験学習の堆肥として無料提供している。肥料高騰が続いているが地元農家や市民に還元させることを重視しているため、今のところ県外への販売は考えていないという。

完成した「つるおかコンポスト」。肥料高騰とSDGsの社会背景の中で全国から脚光を浴びている
完成した「つるおかコンポスト」。肥料高騰とSDGsの社会背景の中で全国から脚光を浴びている

コンポストセンターの内部。約70日かけて発酵させて仕上げる
コンポストセンターの内部。約70日かけて発酵させて仕上げる



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