2023年(令和5年) 5月16日(火)付紙面より
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市民劇団「劇団このは」(本多元子・平さちひ共同代表)の旗揚げ公演が13日、酒田市寿町の本慶寺(本多芳雄住職)境内で行われ、地元役者のユーモラスな演技に詰め掛けた観客から大きな歓声が送られた。本多共同代表は「お客さんが楽しんでくれて良かった。こうした舞台を今後も続けていきたい」と喜んだ。
本慶寺では、大正から昭和にかけて、歌舞伎が好きだった現住職の祖父に当たる芳壽住職が歌舞伎一座などを呼び、地元の人たちと共に楽しんでいたという。また、現在は「このはせんべい」を販売するお店「工房Conoha(このは)」や、地域住民らと定期的に開いている食事会「つるかめ食堂」も行われており、こうした縁から昨年秋に劇団設立の話が持ち上がった。
庄内一円の10代から60代の男女約30人が参加。今年から本慶寺を練習場所に、月2回ほど集まり、約3時間の稽古を行うなど公演に向け練習を重ねてきた。
演目は「びんぼう神と福の神」。遊佐町に伝わる民話をベースに平さんがアレンジを加えたオリジナルストーリー。貧乏神がすみ着いている一家と、そこに現れた福の神とのやりとりを通じて幸せについて考える物語。
この日は公演の話を聞きつけた市民ら約140人が訪れ、本堂前の特設ステージで観劇を楽しんだ。地元役者たちは「鳥海山に種まきじいさんも出て農作業がはかどったもの」「こだなごっつお、もっけだ」など庄内弁のせりふやコミカルな演技を披露。観客から笑い声や声援が上がるなど盛り上がっていた。本多共同代表は「ここで演じたくてみんな頑張ってきたので夢がかなった。練習の成果が出てお客さんが楽しんでくれたので良かった」などと話していた。