2023年(令和5年) 5月17日(水)付紙面より
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AI時代、人に残された道は野生を取り戻すことだ―。思想家の内田樹(たつる)さん、哲学者の内山節(たかし)さん、僧侶の藤田一照(いっしょう)さん、羽黒山伏の星野文紘(ふみひろ)さんの4人がディスカッションする「賢者たちの対話」が13日、鶴岡市羽黒町手向の「いでは文化記念館」で開かれた。
チャットGPTなどAIが目覚ましい発展を見せる中、「利口で科学的な知性」と「自然で生きるための知性」の両面について考えようと日本の聖地巡礼とコミュニティー実行委員会が企画した。
対話のテーマは「土地に生きる知恵といのち」。芸術人類学者の石倉敏明さんを司会者に、4人がそれぞれの立場で意見交換した。
4人からは「丸3年間、コロナ禍を経験したが自然と共生している人が自然界のウイルス、いわばコロナを撲滅しようという考え方はおかしいなと思った。人間のエゴ」「新型コロナは人間社会にテストを突き付けたようなもの。どんなことを学び、何を反省しなければならないのか精査する必要がある」「それぞれの土地で生まれ、暮らしで得た知恵は尊いものだ」「土地に生きる、知恵と命、というテーマはまさに出羽三山の世界。時代の流れに惑わされず先人から伝わったものを大切にして生きることが重要」といった意見が出された。
ディスカッションの前に東京国際太鼓コンテストの大太鼓部門で優秀賞を受賞した和太鼓演奏者・原田嘉子さん(広島県福山市出身)が演奏を披露。威勢のいい迫力に満ちた和太鼓の音が響き、会場に集まった人たちを魅了した。