2023年(令和5年) 5月19日(金)付紙面より
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東北振興研修所(鶴岡市羽黒町松ケ岡、伊藤彰理事長)の教養セミナーが17日、同所で開かれた。同市の致道博物館主任学芸員の菅原義勝さんが「徳川四天王筆頭 酒井忠次」の演題で、徳川家の重鎮・忠次公の活躍について解説した。
同研修所は東北振興に寄与することを目的に、東洋の古典に基づく教学を基本とした各種の研修会、古典教養講座などを開催し、各界の人材育成を図っている。
セミナーは市民など40人余りが聴講。初めに伊藤理事長が「毎年この時期はセミナー後に孟宗汁懇話会を開催している。新型コロナウイルス感染症が5類になったが、会食はまだ避けるべきと判断し今年もセミナーのみとした。来年こそはおいしい孟宗を食してもらいたい」とあいさつした。
講師の菅原さんはスクリーンに酒井家の家系図を映し、もともとは徳川家と先祖が同じ松平家であることや、武田信玄の家臣から送られた書状の内容から忠次公が他勢力に一目置かれていたことなどを解説した。
また、家康公を最も苦しめた武田信玄、勝頼との戦いの中で、1575(天正3)年の長篠の戦いについて「忠次公は武田の背後にあった鳶ケ巣山砦を陥落させ、勝頼の叔父・河窪信実を討ち取るなど大功を挙げた。背後をふさがれた武田は織田の本陣に突撃せざるを得なくなり、待ち構えた数多くの鉄砲の前に敗れた。作戦を打ち立て、自軍を有利に持ち込んだ忠次公の働きは信長公からも大いに称賛された」と語った。
大河ドラマでも知られるエピソードに触れた聴講者は「ああ?、その逸話あった」とうなずきながら耳を傾けていた。