2023年(令和5年) 5月20日(土)付紙面より
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南庄内の植物を調べている大類雄一さん(74)=鶴岡市青柳町=が、新種の可能性がある落葉樹「コブシ」の変種2本を鶴岡市の羽黒小学校(村田透校長、児童197人)にプレゼントした。
数年前、大類さんが羽黒町川代山の山林でサクラソウを探していたところ、花の色が変わった珍しいコブシを偶然見つけ、枝を挿し木にして育ててきた。いずれも高さは約1メートル50センチ。子どもたちがグラウンド南側に植え「毎年、花を咲かせてくれるといいな」と期待を寄せた。
コブシは、例年4月に白い花を咲かせる。大類さんが見つけた変種は、花の色がムラサキで咲き始めるとピンク色に変わっていくのが特徴。見つけたときは「シデコブシとモクレンの自然交配で大きくなったものだろうか」と考えたが、他の有識者たちの知見で新種の可能性が高いことが分かった。
標本用に採取して余った枝を挿し木にしたところ根付き、3年前から花を咲かせるようになったという。「終活に入る歳だから」と笑顔を見せる大類さんは「このまま自宅の庭で育てていてもしょうがない。見つけた地域の小学校に贈り理科の教材に役立ててもらえれば」と提供することにした。
18日に同校で植樹が行われ、大類さんのアドバイスを受けながら健康美化委員会の児童9人がグラウンドの隅にコブシの変種を植えた。
委員長の矢野日詩(ひなた)さん(6年)は「とても珍しい木ということなので大切に育てたい。大きくなるのが楽しみ」と笑顔を見せた。
大類さんは「自然界のものだがもう少し成長するまで定期的に肥料を与え、冬は雪の重みで折れたりしないよう棒で支えてやればOK。あとは何もしなくても育つと思う」と話した。
村田校長は「新種になるかもしれない貴重なコブシを頂き大類さんの厚意に感謝したい。観察を通して自然を愛し環境について考える学習につなげたいと思う」と語った。