2023年(令和5年) 5月21日(日)付紙面より
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競泳男子で2016年のリオデジャネイロ五輪代表を経験した小関也朱篤(やすひろ)さん(31)が古里・鶴岡市で指導者の道を歩み始めた。「知識や技術、自分の経験を子どもたちに伝え、水泳を楽しみながら成長する姿を見守りたい」と意欲を見せている。
小関さんは羽黒高から日体大に進んだ。2014年の短水路競泳日本選手権で、男子平泳ぎの50メートル、100メートル、200メートルの3種目全てで短水路日本記録を更新し優勝。同大卒業後はミキハウスに所属し、リオ五輪の200メートル平泳ぎで5位入賞、17年の世界選手権は同種目で銀メダルを獲得するなど活躍した。100メートル平泳ぎ(短、長水路とも)の日本記録保持者。
昨年11月に現役引退を発表した際、中学?高校時代に指導を受けた恩師・木村憲さん(58)=鶴岡市、キムラスイミング代表取締役=へ引退を報告するとともに「そっち(鶴岡)に戻れますか」と打診。木村さんは「戻ってきてくれたらうれしい」と答えた。小関さんは今年3月末に前所属先の自衛隊を退職し、家族と共に鶴岡市へ移住。木村さんが運営するキムラスイミングのコーチに就任した。
指導者の道を選んだことに小関さんは「長年やってきた水泳の技術や知識を子どもたちに伝えたいと思った。いろんなものを犠牲にしてきた自身の経験から、詰め込み過ぎの練習は長続きしない。まずは泳ぐことを楽しんでほしい」と古里の子どもたちに一番伝えたいことを語り、「目先の目標に向かって全力で頑張ること。その上で記録が伸びる喜びを子どもや保護者と共有したい」と話した。
高校卒業後、神奈川県で10年、埼玉県で3年半暮らし、久しぶりの古里に「ご飯がうまいと強烈に感じた。買い物に行くと魚が安くてうまい。存分に味わっている」と笑う。幼い2人の娘がおり、「両親に預かってもらうなどとても助けてもらっている。首都圏では周囲に頼れる人がいなく大変な思いをした」と話した。
現在は鶴岡市民プールを練習会場に、小学校低学年から高学年を対象にした水泳教室と、各種大会での活躍を目指す小中高校生の選手コースで指導に当たっている。「指導者としてはまだまだ勉強中。言葉を選んで伝えるのがとても難しい。のみ込みが速い子もいれば、そうでない子もいる。分け隔てなく見てあげたい。選手コースで頑張る子どもたちに結果を出させてあげたい。大幅な自己ベスト更新や県大会優勝、インターハイで活躍できる選手が出てきたらうれしい」と語った。