2023年(令和5年) 6月16日(金)付紙面より
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鶴岡市加茂地区で計画されている風力発電事業を巡り、反対の署名活動を展開している市民団体の代表らが14日、市役所を訪れ、皆川治市長に風力発電施設の設置に関する市のガイドラインの見直しなどを要望した。
訪れたのは、おうらの里おおやま再生プロジェクトの梅本幸巳代表、出羽三山の自然を守る会の佐久間憲生理事長、山形大農学部の菊池俊一准教授ら7人。「賛成と反対の間でいさかいが起きないよう、市のガイドラインで風力発電を進めるゾーンと、そうでないゾーンをはっきりと示してほしい」「(事業継続を求める声がある)加茂地区へ市から住民説明に入ってもらいたい」などと求めた。
皆川市長はガイドラインについて、「(市民間の)対立を生まないためにも、ガイドラインの内容を改めてしっかりと考えていきたい」とした。加茂地区への説明については、「(事業者側に事業中止を求めた)市の考えはホームページにも掲載している。加茂地区への説明会は(賛成と反対の)衝突の場になり、衝突をあおりかねず、慎重に考えたい」と述べた。市民団体側は市内外からの反対署名が9000筆を超えたと報告した。
加茂地区の風力発電事業は、ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、本社・東京)が同市の「八森山」(運転中)と「三瀬矢引」(計画中)に次ぐ3カ所目として計画。加茂坂トンネル南西部の山に、高さ約140―180メートルの風車を最大8基設置するもの。
皆川市長は今年2月、「市の豊かな自然環境や景観などへの影響の観点から、市ガイドラインの制限対象区域に相当すると判断した」とし、JREに事業の中止を申し入れた。これに対して加茂地区住民が「市は地域の期待や思いを聞く機会を一切設けなかった」などとして、中止の申し入れ撤回と事業に向けた調査継続を求める請願を3月定例市議会に提出し、継続審査となっている。