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2023年(令和5年) 6月17日(土)付紙面より

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岸田首相の記者会見を聞いて

 岸田文雄首相の記者会見を聞いた。主要テーマは子ども・子育て政策について。しかし、閣議決定した「こども未来戦略方針」によって、少子化に歯止めがかけられるかについては、首相の発言から少なからずの疑問を覚えた。「異次元の少子化対策」を掲げて児童手当の拡充などを図るというが、それだけでは十分だろうか。

 少子化の一因として未婚率の高まりが指摘され、結果として出生数の低下につながっている。若い世代が所得問題から結婚を控える傾向があるとされ、少子化対策は、何よりも若者が結婚しやすい環境でなければならない。特に経済的に。そのため、非正規雇用者の労働改革が必要と思われるが、首相からその具体策が聞かれなかった。

◇      ◇

 首相は少子化は「日本の社会や経済全体に関わり、先送りできない待ったなしの課題」と強調した。「結婚し、子どもを産んで育てたいという、将来に希望を持てる社会をつくらない限り、少子化の流れを反転できない」とも語った。2022年の出生数は統計を取り始めた1899年以降、初めて80万人を割り、少子化が止まらない。

 記者会見で明かした異次元の少子化対策は(1)児童手当の支給対象年齢を高校生年代まで引き上げる(2)第3子以降に月額3万円を給付する(3)「こども誰でも通園制度」創設―が柱。しかし、その実現には3兆円半ばの予算が必要とするのに加え、30年代初頭までにこども関連予算の倍増を目指すという。首相は財源を「徹底した歳出改革の実施で賄い、詳細は年末に示す」と語ったが、野党は「財源確保を先送りし、解散総選挙後に増税を持ち出すのではないか」と警戒する。

 国の財政は借金頼み。防衛予算の大幅増額問題もあり、少子化対策に要する巨額の予算を、歳出改革だけで生み出せるだろうか。首相は「内部努力によって、国民に実質的に追加負担を生じさせないことを目指す」と明言した。国民が負担増を望まないことは確かであろう。現在の子育て世代支援を手厚くすることは大事だが、果たしてそれだけで少子化が止まるだろうか。

◇      ◇

 未婚化や晩婚化の背景には所得問題がある。首相は「賃上げや労働市場改革とセットで少子化対策でも経済的支援に重点を置く」と語った。労働環境の改善、特に低賃金で働く非正規雇用者の所得を、同一労働同一賃金で改善し、未婚者の経済的安定を図り、婚姻数増につなげる政策が要る。

 過去、現金給付で国民の関心を引き寄せようとした政権もあった。特に選挙前は。しかし少子化対策は一時しのぎで解決できる問題ではない。こども未来戦略方針の推進は当然のことだが、何よりも将来を担う若年世代が進んで結婚したいと思う環境を整備する。その対策を、より具体的な言葉で首相から聞きたかった。

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