2023年(令和5年) 6月25日(日)付紙面より
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稲を害虫から守る願いを込めた農業祭事・虫送りが23日、酒田市広野地区で行われた。竹やヨシで作った舟神輿(みこし)、稲をかたどった花梵天(はなぼんてん)が地区内を練り歩き、五穀豊穣(ほうじょう)などを祈願した。
害虫から稲を守るために古くから庄内地方で行われていた虫送りは、農薬の普及、農業の近代化に伴って廃れたとされる。広野でも1950年ごろに途絶えたが、83年に地元有志が「広野虫送り保存会」(佐藤修会長)を結成し復活させた。その後、田植えや一番除草が終わる毎年この時期に行っている。
コロナ禍の影響で4年ぶりの開催となったこの日は午前中、保存会メンバーと地元・広野小学校の6年生10人らが広野コミュニティセンターで竹やヨシを組み上げ長さ約2メートルの舟神輿、季節の花々を飾った高さ約5メートルの花梵天を仕上げた。午後からは地区内の皇大神社で神事の後、鐘と太鼓を先頭に地区内を練り歩いた。「花梵天を家に飾ると願いごとがかなう」という言い伝えもあり、沿道に集まった地区民たちには竹に差した花が配られた。
花梵天制作を担当した佐藤柑菜さん(11)は「地域の人たちと協力していい花梵天ができたと思う。舟は重かったが広野の伝統行事に参加できて良かった」と話した。