2023年(令和5年) 6月27日(火)付紙面より
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今年4月に「第57回吉川英治文化賞」を受賞した鶴岡市立加茂水族館名誉館長の村上龍男さん(83)=鶴岡市羽黒町野荒町=の受賞記念祝賀会が25日、同市のグランドエル・サンで開かれた。大勢の知人や支援者が集まり、「世界一のクラゲ水族館」の立役者を囲んで受賞の喜びを分かち合った。
祝賀会は一般財団法人鶴岡市開発公社理事長の阿部真一副市長や現館長の奥泉和也さんなどが発起人となり開催。友人や知人、県、市、取引先、水族館職員など合わせて210人余りが出席した。
初めに発起人を代表して阿部副市長が「村上さんは厳しい経営下にあった水族館をクラゲ展示種類数世界一の水族館として、庄内地方屈指の観光スポットに育て上げた功績により、このたびの受賞となった。受賞の喜びを分かち合い、楽しいひとときを過ごしてほしい」とあいさつした。加藤鮎子衆院議員、芳賀道也参院議員などによる来賓祝辞の後、村上さんと妻の和子さんに記念品や花束が贈られた。
続いて村上さんが「来場者がどん底となり、水族館の存続を諦めていた時、出合ったクラゲに全てを懸けた。水族館が市に買い戻され、当時の市長だった故富塚陽一さんに『思うようにやれ』と言われて本当に思うようにやり、周囲にはいろいろ迷惑をかけた」と振り返り、「水族館はこれほど多くの人に支えられている。その期待に応えて世界に加茂水族館の名を轟かせ地域活性化に貢献できるよう、微力ながら力を尽くしていきたい」と謝辞を述べた。
村上さんは1967(昭和42)年、26歳の若さで館長に就任。新潟と秋田に新しい水族館が次々とオープンし、一時は入場者が年間9万人まで落ち込んだ。97年にサンゴを展示した際、自然に生まれた「サカサクラゲ」との出合いをきっかけに、奥泉館長とクラゲ展示に特化した水族館づくりを進めた。今では全国各地から多くの来館者があり、世界一の規模を誇るクラゲ水族館(約80種展示)として人気を集めている。