2025年1月21日 火曜日

文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2023年(令和5年) 7月9日(日)付紙面より

ツイート

クマのクロちゃん安らかに眠る 旧朝日村で保護され32年の天寿全う かわいいしぐさファンクラブ1000人 「多くの人に愛され感謝」

 母グマとはぐれ旧朝日村の山あいで保護された雌のツキノワグマが32年の天寿を全うした。鶴岡市上名川の佐藤八重治さん(80)が保健所から許可をもらって飼育してきた。名前は「クロ」。今月1日に鉄製の小屋で、八重治さんから看取られながら静かに息を引き取った。人間の年齢にすると100歳近いという。八重治さんは「多くの人に愛され、多くの人に笑顔を与えてきた。クロは幸せだったと思う。今はただありがとう、と言いたい」と話している。

 保護されたのは1991年4月。地元猟友会のメンバーが見つけ、いったん動物好きの八重治さん方で保護してもらうことにした。

 「元気になったらクマ牧場に引き取ってもらおう」(八重治さん)と考えたが世話をしているうちに愛情が高まり許可を得て飼い始めた。鶴岡市内の鉄工所に頼んで鉄製の小屋を制作。リンゴといった果物や春になると大好きな山菜(イタドリなど)を裏山から採って与えた。

 その後、「保護されたクマの赤ちゃん」として地域の評判となり、保育園の幼児や老人クラブのお年寄りが見学に。「クロちゃんファンクラブ」も発足し会員は北海道から沖縄まで約1000人の登録者数を数えた。

 そんなクロも年齢には勝てず今年2月に小屋の中で倒れた。足が悪く自ら立つことが困難となり、八重治さんが付きっきりで介護する毎日が続いた。途中、回復の兆しが見えたものの今月1日午後1時ごろ、鉄製の柵にもたれかかるようにして亡くなったという。
 「人も動物も命は同じ」と八重治さんや地域の人たちなど十数人が集まりクロの葬儀をした後、八重治さんが所有する裏山の一角に埋葬した。たくさんの花に囲まれて土葬、墓標も立てた。

 「クロは穏やかな性格でいつも見学に訪れた人たちを出迎えるような感じだった。腹を見せて愛嬌(あいきょう)を振りまく時もあったほど。多くの人たちから愛され、親しまれてきたことに感謝したい」。クロの墓標を見つめながら八重治さんが語った。

まだ子グマだった頃のクロ。愛らしいしぐさで人気を集めた=八重治さん提供
まだ子グマだった頃のクロ。愛らしいしぐさで人気を集めた=八重治さん提供

「クロをかわいがってくれた多くの方々に感謝の気持ちを伝えたい」。クロの墓で語る育て親の八重治さん
「クロをかわいがってくれた多くの方々に感謝の気持ちを伝えたい」。クロの墓で語る育て親の八重治さん



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

  ■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

ニッポー広場メニュー
お口の健康そこが知りたい
気になるお口の健康について、歯科医の先生方が分かりやすく解説します
鶴岡・致道博物館 記念特別展 徳川四天王筆頭 酒井忠次
酒井家庄内入部400年を記念し、徳川家康の重臣として活躍した酒井家初代・忠次公の逸話を交え事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第2部 中興の祖 酒井忠徳と庄内藩校致道館
酒井家庄内入部400年を記念し、庄内藩中興の祖と称された酒井家9代・忠徳公の業績と生涯をたどる。
致道博物館 記念特別展 第3部 民衆のチカラ 三方領知替え阻止運動
江戸幕府が3大名に命じた転封令。幕命撤回に至る、庄内全域で巻き起こった阻止運動をたどる。
致道博物館 記念特別展 第4部 藩祖 酒井 忠勝
酒井家3代で初代藩主として、庄内と酒井家400年の基盤を整えた忠勝公の事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第5部 「酒井家の明治維新 戊辰戦争と松ケ岡開墾」
幕末~明治・大正の激動期の庄内藩と明治維新後も鶴岡に住み続けた酒井家の事績をたどる。
酒井家庄内入部400年
酒井家が藩主として庄内に入部し400年を迎えます。東北公益文科大学の門松秀樹さんがその歴史を紹介します。
続教育の本質
教育現場に身を置く筆者による提言の続編です。
教育の本質
子どもたちを取り巻く環境は日々変化しています。長らく教育現場に身を置く筆者が教育をテーマに提言しています。
柏戸の真実
鶴岡市櫛引地域出身の大相撲の元横綱・柏戸の土俵人生に迫ります。本人の歩み、努力を温かく見守った家族・親族や関係者の視点も多く交えて振り返ります。
藤沢周平の魅力 海坂かわら版
藤沢周平作品の魅力を研究者などの視点から紹介しています
郷土の先人・先覚
世界あるいは全国で活躍し、各分野で礎を築いた庄内出身の先人・先覚たちを紹介しています
美食同元
旬の食べ物を使った、おいしくて簡単、栄養満点の食事のポイントを学んでいきましょう
庄内海の幸山の幸
庄内の「うまいもの」を関係者のお話などを交えながら解説しています

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field