2023年(令和5年) 7月19日(水)付紙面より
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鶴岡市出身の作家・藤沢周平原作の小説を落語で再現する「第2回らくごDE藤沢周平」が15日、鶴岡市の荘内神社参集殿で開かれた。落語家の桂そうばさんが藤沢作品「遠ざかる声」を披露し、大勢の観客を楽しませた。
そうばさんは1978年福岡市生まれ。2005年に落語家の桂ざこば氏に入門し、昨年から藤沢作品の落語化に取り組んでいる。鶴岡市では昨年11月に続き2回目の開催で、ほかに東京や大阪などでも同様のイベントを開いている。今回は鶴岡市と市教育委員会が後援し、藤沢周平事務局(東京都)や鶴岡市立藤沢周平記念館、荘内神社が協力した。
会場に集まった市民など160人余りを前に、そうばさんは上方古典落語の「上燗屋」と「手水廻し」の番組2本を上演。「上燗屋」は、酔客があの手この手を使い無料で酒のアテを食べようとする話で、「第9回上方落語若手噺家グランプリ2023決勝戦」(6月、大阪市)でそうばさんが優勝した際にも上演した。また、「手水廻し」は昔の上方方言の“ちょうず”を巡る滑稽話。関西弁で面白おかしく語るそうばさんの姿に、観客たちは大きな笑い声を上げていた。
中入り後は藤沢作品「遠ざかる声」(文春文庫「夜消える」収録)を披露。原作は、内儀を亡くした大物屋の主人が後妻を迎えるに当たり、亡き妻の仏壇に報告したやりとりを描いた人情味あふれる「市井もの」の作品となっている。
そうばさんは「やかましいねん!」「鼻高々やで!」「ほんに、ほんに」など藤沢作品を関西弁で表現。原作とは違う雰囲気ながら、小気味の良い語り口で藤沢作品を落語で表現した。
市内の70代男性は「昨年も聞きに来ており今回も楽しみにしていた。やはり最後の『遠ざかる声』が一番面白かった。来年もぜひ開催してほしい」と話していた。