2023年(令和5年) 8月4日(金)付紙面より
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鶴岡市三瀬地区の八森山で稼働している風力発電施設付近で6月、環境省が絶滅危惧種に指定するクマタカ1羽の死骸が見つかっていたことが分かった。同市の皆川治市長が2日、定例記者会見で公表した。飛行中の鳥が風車に衝突する「バードストライク」の可能性もあり、環境省が今後、詳しい死因を調べる。
市によると、死骸は6月下旬、発電所を運営するジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、東京)が環境影響評価法に基づき定期的に行っている事後調査で、最南端に位置する5号機付近で見つけた。7月中旬に国へ報告し、市には7月28日に報告があった。死骸は冷凍保存されているということで、今後環境省が死骸を解剖して死因を調べるという。
同社による発電施設は高さ約140メートルの風車が5基あり、2021年11月から稼働。建設前の環境影響評価では、計画地付近でクマタカのつがい5組の営巣が確認されたため、JREは風車の数を当初予定の9基から5基に減らしたほか、ブレードの一部を赤く塗装するなど対策を講じた経緯がある。国はバードストライクが確認された場合、専門家の助言を踏まえ、稼働制限などの追加措置を講じるよう勧告している。
JREの風力発電事業は、八森山北側の矢引地区や加茂地区でも計画されている。このうち加茂地区の計画については、ラムサール条約登録湿地「大山上池・下池」に近過ぎるとして、市が事業の中止を求めている。
会見で皆川市長は「(バードストライクであれば)計画中の他の事業とも関係し、重大な案件だと受け止めている」と述べ、JREに詳細な報告を求める考えを示した。