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2023年(令和5年) 8月4日(金)付紙面より

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即身仏・鉄門海上人研究の集大成 杉原さん(酒田)10年余の歳月かけた新刊 『鉄門海の足跡を辿る』

 古文書など1万2000点余を所蔵する「庄内酒田古文書館」を酒田市みずほ一丁目の自宅に開設している地域史研究家、杉原丈夫さん(77)=酒田古文書同好会長=が、即身仏として注連寺(鶴岡市大網)に安置されている鉄門海上人(1759―1829年)についてまとめた新刊「日本の即身仏シリーズ『鉄門海の足跡を辿(たど)る』」を発刊した。県内外に建つ石碑、旧家に伝わる古文書などを10年余の歳月をかけて研究した集大成。杉原さんは「今後の鉄門海上人研究に役立ててもらえたら」と話している。

 杉原さんは元小学校教員で、退職後に山形大大学院社会文化システム研究科で学びを深めて修士課程を修了した。市光丘文庫古典籍調査員を歴任した後、古文書館を自宅に開設し地域史研究を継続する一方、酒田、鶴岡両市などで古文書入門教室を開き、自ら所蔵する古文書をテキストとして広く一般市民らに解読法を指導している。山形大庄内地域文化研究会研究員。

 鉄門海上人は江戸で眼病が流行した際には自らの眼球をくり抜いて収束を祈願したほか、加茂坂峠(鶴岡市)の新道工事、遊佐町菅野谷地の新田開発など民衆のために数多くの慈善事業を行った。3年に及ぶ五穀断ちを経て1829年に入定し、即身仏になった。

 鉄門海上人の研究に際し、杉原さんがまず注目したのは石碑の多さ。「古文書が残っていない地域でも、その功績をたたえる石碑は存在するケースが多くある」(杉原さん)ことから、その分布を調査したところ、県内の173基を含め207基が確認されており、秋田、新潟など近隣県はもとより、遠くは北海道にも存在していたという。

 これら石碑とともに、江戸・文政年間に池田玄斎が著した随筆集「弘采録」、湯殿山注連寺略縁起、海向寺寺務日記といった古文書をひもとき6章構成でまとめたのが今回の書。石碑の多さに関して杉原さんは、鉄門海上人が布教・救済活動のため村落を行脚し、その恩恵を後世に伝えるために村人が建立したと考察、「祈とうの力だけでなく、医術、薬も施して人々の救済を行ったものと捉えられる」とつづっている。

 本書では庄内地域の6体を含め全国に残る即身仏18体の分布も紹介。巻頭言は山岳信仰研究の第一人者・岩鼻通明山形大名誉教授が寄せている。A5判、232ページ。定価は3000円(税込み)。酒田市のみずほ八文字屋、鶴岡市の阿部久書店、遊佐町のブックスほんまで扱っている。問い合わせは杉原さん=電080(4515)0595=へ。

鉄門海上人についてつづった自著を手にする杉原さん
鉄門海上人についてつづった自著を手にする杉原さん



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