2023年(令和5年) 8月9日(水)付紙面より
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夏休み。始まったばかりと思っていたらもう半分が過ぎ、お盆を迎えれば2学期のことを気にしなければならない。「宿題を!」と慌て始める子どももいることだろう。夏休みの過ごし方で語られるのが生活ペースを崩さないこと。普段のように学校で過ごす時間に合わせ、午前中だけでも同じペースで過ごそう、夏休みだからと怠けるのはよそうとの、専門家のアドバイスもある。
人は起きてから2時間ほど過ぎてから脳の働きが良くなるという。全国で朝の読書(朝読あさどく)を取り入れている学校が多いというのも、早朝の効果を利用したものだろう。暑い夏は本を読むのもつらい。それでも頑張って心に残る一冊を読みたい。
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2023年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果が公表された。対象は小学6年生と中学3年生。本県の平均正答率は小学校の算数、中学校では数学と英語が全国平均を下回り、国語は小中とも全国平均とほぼ同じだった。小学校の国語では複数の資料を読んで理解し、考えをまとめる力に課題があり、中学の数学では問題解決の過程や結果を振り返って考察する力が不十分などとの分析もあった。
文章を読んで内容を理解することは、すべての学習の基本になるという。要するに問題が何を問い掛けているのか、読んで理解する読解力が求められるということであろう。今度の学力テストでも、新聞を読むほど好成績につながる傾向にあったという。新聞作りに携わる者として手前みそになるが、やはり「読むは力」ということになるようだ。
読書によって勉強の基本である読解力や思考力が養われる。とはいえ一人で本を読み、活字を追うことには根気が要る。だから一気に読み切る必要はない。前に読んだストーリーを思い起こしながら、少しずつでも、きちんと読み続けることが大事だ。気になったところ、印象に残った部分をメモしておくと、次の読み始めにつながる。
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夏休み。浜辺に白い入道雲が湧き、野山で虫捕りをする―というようなイメージが浮かび、誰だってわくわくした気分になるのではないだろうか。夏休みは自然に触れる絶好の機会だが、今年のような猛暑続きでは野山に出掛けることもままならない。ただ熱中症予防で家の中に閉じこもり、ゲームに夢中になってしまうのは困りものだ。
少し堅苦しくなるが、活字離れや読書離れに歯止めがかからないこともあり、街から書店が減っている。視覚の簡便さからインターネットに偏り過ぎるようでは、考える力と読む力が育たず、正確でない情報に接することにもなる。やはり夏休みは、本を読んで感動したり、想像力を膨らませてほしい。面倒なことに打ち勝った先には、きっと夏休みでの達成感が得られると思う。