2023年(令和5年) 8月17日(木)付紙面より
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三川町の「二十歳のつどい」が15日、同町横山のなの花ホールで行われた。
対象は2002年4月2日から03年4月1日生まれの計75人。小学校学区の内訳は横山28人、東郷13人、押切34人で、この日は男性29人と女性18人の合わせて47人が出席した。
式典では獅子舞奉納の後、阿部誠町長が式辞を述べ「二十歳」を祝福した。代表して東沼の大瀧滉人(あきひと)さん(20)=新潟大学3年=が「私たちが高校3年になろうとした時、コロナ禍となり人とのつながりの大切さや、いつもの生活がどれだけ貴重なものであったか痛感した時ともなった。まだ成人としては未熟だが、それぞれ志を持って社会に貢献する大人になれるようこれからも努力していきたい」と決意を語った。
出席者は阿部町長や恩師と一緒に記念撮影。中学校の卒業以来、5年ぶりに再会した人たちも多く「全く変わっていないな」「いま何しているの」と久しぶりに旧交を温めていた。
庄内町の「二十歳のつどい」が15日、同町の響ホールで行われ、真新しいスーツやドレスに身を包んだ二十歳の若者たちが大人への決意を新たにした。
同町では毎年夏に成人式を行ってきたが、昨年4月から成人年齢が18歳に引き下げられたことに伴い「二十歳のつどい」と改称した。同町の対象者は2002年4月2日から03年4月1日までに生まれた204人。この日は二十歳となった若者と来賓ら計約160人が出席した。
式典では、富樫透町長が「二十歳は次のステージへの出発点。数多くの可能性の中から自分で選び取ってチャレンジし、自分自身の道を進んでいってほしい」と式辞を述べ祝福。参加した若者を代表し、梅原叶大(かなた)さん(21)=同町連枝、イベント会社代表=が「ここまで成長できたのは多くの人が導いてくれたおかげ。これからの未来はさらなる挑戦が待っている。失敗もあると思うが、可能性を信じて進んでいきたい」と決意表明した。
その後は、各地区の代表者ら9人が自分の近況や目標などを発表する「二十歳のメッセージ」、ビンゴゲームなどが行われ、若者たちは久しぶりに会う友人と写真を撮るなど楽しんでいた。
2023年(令和5年) 8月17日(木)付紙面より
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東山 哲也氏( 鶴岡市出身・植物学者東京大学大学院理学系研究科教授)×門松 秀樹氏(『らんまん』時代考証担当東北公益文科大学教授)
藩校時代の自由度が天才生み出す…東山氏
「覚える」ではなく自由に「考える」…門松氏
門松 ドラマ「らんまん」の主人公のモデルとなった植物学者・牧野富太郎は小学校中退がものすごく有名だが、佐川にいた時、学問所「名教館(めいこうかん)」に通っていた。名教館の勉強とは別に洋学を勉強するサークルにも入っていた。自分で翻訳しながら原書を読むなど広範な学問を勉強していた。公的な学校歴としては小学校中退だが、佐川小学校に入る前に大学に入れるくらいの勉強をやってしまっている人。本来は小学校中退の人が英語の論文を普通に書けるのか疑問に思うべき。豪商の出身なので、きちんと教養を身に付けた人。そういう階層の人だからこそ、一銭のもうけにもならない学問に打ちこめたともいえる。
明治初期の植物学教室は全部英語で講義をしていたが、当時は日本語に該当する概念がなかった。日本語の翻訳を待たなければならなかったので英語でやってしまった方が早い。夏目漱石が明治40年代に帝大生に行った講演では「今、君たちが日本語で勉強できることを幸せに思いなさい」と語っている。自分たちが入った時は日本語で勉強しようと思ってもできなかったから。日本語を使っても議論が成り立つように幕末から明治にかけて基盤をつくったということ。
東山 当時の努力は本当に素晴らしいことだと思う。日本が科学技術立国をできたのは、日本語できちんと理解して議論ができるから。アジアで母国語を使って科学ができるという国は日本以外にはほとんどないのではないか。他は教育が高度になっていけばいくほど英語に切り替わっていく。それと、藩校時代の自由度、高い教育が天才を生み出すことにつながったと思う。
門松 狙いをどこに据えるかだと思う。明治以降の近代教育システムは飛び抜けた天才は育てないが、皆平均的を狙った。初等教育の水準は高かったが、飛び抜けた人を育てる教育をしていない。今後は飛び抜けた人が出てこないと世界と太刀打ちできないから「ゆとり教育」で上を伸ばしていく教育をやったら、基礎の部分も固めないと飛び抜けた人も育たないことが分かってきた。
東山 自分が学生の時に先生から「好きなことを自由にやってください」と言われ、自由にやらせてもらった ので先生の専門とはかなり違う研究になり、先生の研究にはそこまで貢献しなかった。今は私の研究室のみんなが「花粉管」の研究をするとかではない方が望ましいと思っている。そうした多様性も含め、広い意味での植物の性や生殖などが自分の研究になると思う。最初の方向性づけをやりつつ、後は学生とディスカッションしながら進めている。研究も教育も大学院以上になると切り離すのが難しい。授業は学部生に後期の半年間、週1回行っている。勉強のできる学生たちでツッコミも厳しく真剣勝負。授業の前の日は徹夜に近い状態になる。3年生相手に行う授業が一番教育らしい教育。なるべく授業を聴いて面白かったと思ってもらえる形にしないといけない。
門松 公益大全体としてはアクティブラーニングとして学生主体で動いてくれるよう心掛けている。自分が担当している科目で、例えば日本史では「歴史は暗記」と思って嫌いな学生もいる。教科書に書いてある年表を覚えることが歴史ではない。今ある説明は当時の人が残した記録を元に後の時代の人がこうなったのではないかと推理しているだけ。新しい推理や考え方を出して変えてしまっていいもの。「覚える」のではなく「考える」。自由に考えてほしい。
2023年(令和5年) 8月17日(木)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡北高音楽部の定期演奏会が15日、荘銀タクト鶴岡(市文化会館)で開かれた。来春、鶴岡南高と統合し中高一貫校「致道館中学・高校」となるため、ファイナルコンサートと銘打った。現役部員のコーラスだけでなく、過去のコンクールや定期演奏会の様子を映像で紹介するなど、音楽部の歴史と伝統を振り返った。
同校音楽部は1949(昭和24)年創部。全国的にも高いレベルを有し、2016年のNHK全国学校音楽コンクールや17年の全日本合唱コンクール高校B部門では金賞を獲得した。定期演奏会は毎年夏に開いており、現在の部員は男子1人を含む15人。
この日のファイナルコンサートは3部構成で、第1ステージは現役部員たちがNHK連続テレビ小説「らんまん」の主題歌「愛の花」や島崎藤村の詩に曲を付けた「知るや君」などを熱唱。同校男子の有志も参加して混声合唱も披露した。
第2ステージは過去のコンクールやコンテストで受賞した感動のシーンや、定期演奏会で繰り広げられた楽しいミュージカル上演の様子などを映像で紹介。懐かしい映像の数々に観客席からは楽しげな笑い声が上がっていた。
第3ステージは鶴岡北高OGを中心とした女声アンサンブル「ろすまりん」が歌声を響かせ、現役部員たちとの合同演奏も行われた。最後は駆け付けた100人超のOGがステージに上がり、総勢約130人で「花は咲く」「My Way」などの大合唱を繰り広げた。
2023年(令和5年) 8月17日(木)付紙面より
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鶴岡市の市街地を流れる内川で15日夜、お盆行事の灯籠流しが行われ、故人の名前を記した灯籠が川面をゆっくりと下った。
内川の灯籠流しは昭和初期から100年ほどの歴史があるという。現在は川端商店会などで組織する鶴岡内川灯籠流し実行委員会(委員長・荘司淑子村上屋旅館代表)が実施している。今年は100件を超える申し込みがあった。鶴園橋のたもとで開かれた供養式で、3つの寺院の住職が「三界萬霊」供養の読経を行い、一人一人の名前を読み上げた後、供養したい人の名前や戒名が書かれた灯籠を参加者とスタッフが次々と川面に流した。
鶴園橋下流の三雪橋や川の両岸には大勢の市民が集まり、水面をほのかに照らしながらゆっくりと流れる灯籠の淡い光を見つめていた。娘さんの新盆供養で参加した同市本町二丁目の小松孝久さん(72)は「俺より早く、娘は48歳で逝ってしまった。残念無念。灯籠に『安らかに』の願いを込めて見送りたい」と話していた。
一方、この夜は近くのみゆき通りを会場に「第1回鶴ケ岡盆踊り」も行われ、浴衣姿の親子などが踊りの輪に加わり、夏の夜の行事を楽しんだ。
NPO法人公益のふるさと創り鶴岡などによる実行委員会(尾川勝則委員長)が、灯籠流しに合わせて企画。車両を通行止めにした荘内銀行本店前の路上にやぐらを設け、同市の劇団夢一座や山形大花笠サークルのメンバーらが花笠音頭や庄内ハイヤ節、佐渡おけさなどの踊りを披露。多くの市民が飛び入り参加で踊り、訪れた大勢の市民が笑顔で手拍子を送っていた。
2023年(令和5年) 8月17日(木)付紙面より
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すっきりと洗練された舞で評価が高い番楽「杉沢比山」が15日夜、遊佐町杉沢の熊野神社で奉納上演された。杉沢比山連中(佐藤正一座長)が、この日だけの演目という「おきな」など9曲を披露。ほぼ例年通りの上演は4年ぶりとあって大勢の観客が詰めかけ、旧盆の一夜の伝統舞台を心ゆくまで楽しんだ。
鳥海山の山伏修験者によって伝承された番楽の一種で、様式などから鎌倉時代には舞われていたとみられている。美しくユニークな形、鮮やかな所作で芸術的価値が高いと評価され1978年、国の重要無形民俗文化財に指定された。
例年、8月6日の「仕組(しくみ)」を皮切りに同15日の「本舞」、同20日の「神送り」の計3回、同神社境内の特設舞台で上演されるが、コロナ禍で2020年、21年は中止。昨年は演目を減らし本舞だけを実施した。
15日は猛暑日となった昼間の熱気が残る中、舞のない「かけ謡(うた)」で開幕。舞台鎮めの「番楽」や「おきな」に続き、遊佐中1年の小野寺琉伊(るい)さんが五穀豊穣(ほうじょう)を祝う「三番叟(さんばそう)」を活発な動きで舞った。
その後も八幡太郎義家の家来の勇猛な戦いをたたえる「景政(かげまさ)」、大江山の鬼退治を再現する「大江山」などを披露。最終を飾る「猩々(しょうじょう)」までを次々と演じ、観客を楽しませた。