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2023年(令和5年) 8月20日(日)付紙面より

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対談 『らんまん』から考える人材育成と植物科学4 終

東山 哲也氏( 鶴岡市出身・植物学者東京大学大学院理学系研究科教授)×門松 秀樹氏(『らんまん』時代考証担当東北公益文科大学教授)

庄内の環境と中高一貫校大きなチャンス…東山氏
6年間の学びで高大接続もスムーズ…門松氏

 門松 酒田と鶴岡が合併して庄内地域を1つの市にできれば人口規模として山形市にほぼ並ぶ。大きな拠点が海沿いにでき、庄内だけでなく、秋田などともいろいろなことができたはず。県内2番目、3番目の都市が別々にあるので求心力に欠けているところがあるのかと思う。

 東山 文部科学省「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」で鶴岡南に関わっている。鶴岡南のSSHは文系も含まれる点でユニーク。今の鶴岡は山大農学部、慶應、理研、公益大がある。この環境はすごいことなのでこの関わりはいいチャンス。特に科学に興味のある子にはすごくいい。現在は高校生が対象だが中学校に広げてもいいと思う。高校からだとテーマを決めて実験できるのは1年間くらいになってしまうが、中学から実験をしたり、先輩の姿を見ながら考えたりできるので、そこが中高一貫校の分かりやすい意義。

 門松 理系に興味のある生徒を増やすためには小学校くらいから実験をたくさんした方がいい。教科書に載っていても実際に目の前でその現象が起こるのはすごく興味をそそられるだろう。中学、高校になってくると実験をやっている時間がないから飛ばされてひたすら授業になってしまう。実験なしでは「どうしてこうなったのだろう」ということにはつながりづらいのでは。体験させる理科の実験は大事なことだと思う。

 戦前の旧制高校のような大学に入る前の学校はかなり自由に自分のやりたいことをやれる教育だった。せっかく致道館高校・致道館中学校は中高一貫で6年間あるので中学で興味を育てたり、基礎的な学力を身に付け、高校でそれを使って自由に興味のあることを学ぶ。偏差値が高いから大学に行くのではなく、自分の興味の最先端はどの大学かを選ぶようになれば大学生として学問への向き合い方が変わってくる。受験勉強して覚えるのは苦行だが、自分が面白いと思っていることを調べたり、覚えるのは本人にとって楽しいこと。高大接続もスムーズにいくのではないか。

 東山 今回講演の機会を頂いて致道館というものをあらためて理解したが、致道館高校・致道館中学校に関わる子どもも親も教職員も、藩校・致道館がどういう教育の場だったのか一度理解しておくとすごい宝になる。冨田勝先生(前慶應義塾大学先端生命科学研究所長)も言っているが、これこそこれからの時代に求められるものだ。藩校・致道館の教育の姿勢はこれからの時代、本当に必要になる。サイエンスパークを中心とした学びの場は興味のある子にとって、いろいろなチャンスとなる。庄内地域は文系的な部分もすごく強いと思うので、SSHのような取り組みを通して今までの中高とは違う経験を子どもたちにさせてほしいし、そうした希望を持つ子がたくさん集まってくれれば。入試制度も徐々に変わりつつあるので、何か興味のあることを見つけてどんどん先にいけるようになればいい。中高一貫校を大きなチャンス と捉え、興味のある子が活発に活動する場になればいいと思う。

東山哲也氏
東山哲也氏

門松秀樹氏
門松秀樹氏



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