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2023年(令和5年) 9月13日(水)付紙面より

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長生きを喜べる努力もしたい

 日本人の平均寿命は女性が87歳、男性が81歳を超え、100歳の長寿者も珍しくなくなった。2025年には団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者になる超高齢化社会を迎える。一般的に高齢者は65歳以上とされる。しかし、65歳からの前期高齢者、さらに75歳以上の後期高齢者でも元気で社会活動している人は多い。一律65歳以上を高齢者とせず、75歳以上を新たな定義とする動きも出ている。

 健康で長生きできるのはうれしいことだ。一方、高齢者医療費が膨張し、政府は後期高齢者のうち所得の高い人の医療保険料を24~25年度に段階的に引き上げる方針だ。収入が限られる中での負担増はつらいものがあるが、現役世代の負担に頼ってばかりいられないという現実でもある。

◇      ◇

 15日から「老人週間」が始まる(21日まで)。高齢者がゆとりを持って生活するにはそれなりの生活費が要る。「年金で悠々自適」できる人は限られるに違いない。体力に応じた仕事をすることで社会参加していれば、それこそ、健康長寿でいられる。

 団塊の世代が後期高齢者の仲間入りすることで、高齢者の孤立化が社会問題になっている。とりわけ1人暮らしが増え、近隣との交流もしなくなれば一層孤立する。食事も偏りがちになり、健康にも良くない。1人暮らしは、高齢夫婦のどちらかが亡くなって1人になるケースが多い。しかし、未婚率の高まりの延長上に単身者がいるのではないだろうか。単身生活者は、賃貸住宅の入居問題や亡くなった後の課題も多いという。

 鶴岡市の統計では、22年3月末時点の65歳以上は4万3583人。人口に占める割合は約36%。全国平均同29%、県平均の同34%より高い。少子高齢化がより進んでいるということであろう。高齢者だけの世帯は4397世帯、1人暮らしは4912人、寝たきりは1232人。市は住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域全体で支え合う「日常生活支援総合事業」に取り組んでいる。

◇      ◇

 「老人」という呼称に抵抗感があるという声をよく聞く。年齢を重ね、病気になりやすくなるなど、「負」のイメージが付きまとうからだろうか。「老」の字はお年寄りの尊称だが、「老人」ではなく「朗人」でいるためにも、「もう年だから」は禁句とし、積極的な社会参加を心掛け、心身の若さを保つ努力をしなければならない。

 長寿は喜ばしい。それも健康あってこそ。新聞やテレビで「○○を愛用して元気になった」などと、健康食品の宣伝がにぎやかだ。だが、健康の源は簡単な食事で済ませず、肉・魚・卵などのたんぱく質をしっかり食べ、筋肉を付け、骨を丈夫にして転倒や骨折を防ぐ。「人生100年」に向け、行政の支援を得るのは、当然として、その前に自分の頑張りこそ肝心だ。

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