2024年12月3日 火曜日

文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2023年(令和5年) 9月13日(水)付紙面より

ツイート

月山ダム 水位過去最低に 記録的少雨 有効貯水率36% まだ利水範囲「水のありがたさ痛感」

 鶴岡市朝日地域の月山ダムの水位が過去最低を記録した。梅雨明け以降、記録的な少雨となり、9月11日現在の有効貯水率は36・3%。ダム湖の側面は建設時に伐採した木の切り株や根っこがあらわになっている。月山ダム管理所によると、飲み水と農業用水に影響を与えることはないが鶴岡市全世帯のうち8割以上の飲料水を月山ダムに頼っている市上下水道部や稲作農家は「もし月山ダムがなかったらと想像するとゾッとする。水資源のありがたさを痛感した夏になった」と話している。

 月山ダムは2002年4月に運用が始まった。集水面積は約240平方キロメートル、総貯水量は6500万立方メートルで、このうち有効貯水容量は5800万立方メートル。赤川の洪水防止、庄内南部の灌漑(かんがい)用水、鶴岡市を中心とした飲料水を賄う。水力発電で年間約9000戸に相当する電力も生む。

 これまで月山ダムは春の雪解け水や雨水を蓄え安定した水位を保っていた。ところが今年は7月下旬から1カ月以上、まとまった雨が降らずダム湖の水位は日に日に減少。8月の雨量は田麦俣の観測地点で44ミリだった。通常、平均水位(標高)は237メートルあるが今月11日までに223・79メートルまで下がった。

 月山ダム管理所の職員は「これほど水位が落ちたのは初めて。最低水位の210メートルを下回ると利水に影響を及ぼすが、まだ許容範囲内なので飲み水と稲刈りが始まった灌漑用水に関して心配することはない」と説明する。

 鶴岡市は月山ダムを通じて県企業局朝日浄水場から飲料水を受水。高坂配水場など7カ所の配水場にパイプで水を送り、独自水源の温海地域や豊浦地域などを除く世帯に飲料水を供給している。

 市上下水道部の担当者は「月山ダムに切り替わる前地下水を使っていた鶴岡市にとって、今年の極端な少雨を想定して考えた場合、水不足に陥った可能性が高い。あらためてダムの恩恵を感じる」と語る。

 羽黒地域で稲刈りを進める農家は「例年4月上旬から9月15日まで用水路に水が引かれるが、これまで止められたり水量を下げられたことは一度もない。ダムがあってこそ。今年の夏は特に、当たり前のように使っている水のありがたさを感じた」と話す。

 今から30年前の1990年代後半、巨額な予算を投じて建設するダムは「ムダ」と主張する市民団体も少なくなかった。しかし地球温暖化による気候変動で局地的な豪雨や干ばつが多発。世界規模で水と食料の確保は年々高まりを見せている。

 月山ダム管理所の猿田誠所長(57)は「水は限りのある資源。今後も節水を呼びかけながら八久和ダムと荒沢ダムとの連携を図り治水・利水の両面でダム管理を行っていきたい」と話した。

過去最低の水位となった月山ダムのダム湖=9月11日
過去最低の水位となった月山ダムのダム湖=9月11日

ダム湖の側面は建設当時の木の根元や根っこがあらわに
ダム湖の側面は建設当時の木の根元や根っこがあらわに



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

  ■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

ニッポー広場メニュー
お口の健康そこが知りたい
気になるお口の健康について、歯科医の先生方が分かりやすく解説します
鶴岡・致道博物館 記念特別展 徳川四天王筆頭 酒井忠次
酒井家庄内入部400年を記念し、徳川家康の重臣として活躍した酒井家初代・忠次公の逸話を交え事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第2部 中興の祖 酒井忠徳と庄内藩校致道館
酒井家庄内入部400年を記念し、庄内藩中興の祖と称された酒井家9代・忠徳公の業績と生涯をたどる。
致道博物館 記念特別展 第3部 民衆のチカラ 三方領知替え阻止運動
江戸幕府が3大名に命じた転封令。幕命撤回に至る、庄内全域で巻き起こった阻止運動をたどる。
致道博物館 記念特別展 第4部 藩祖 酒井 忠勝
酒井家3代で初代藩主として、庄内と酒井家400年の基盤を整えた忠勝公の事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第5部 「酒井家の明治維新 戊辰戦争と松ケ岡開墾」
幕末~明治・大正の激動期の庄内藩と明治維新後も鶴岡に住み続けた酒井家の事績をたどる。
酒井家庄内入部400年
酒井家が藩主として庄内に入部し400年を迎えます。東北公益文科大学の門松秀樹さんがその歴史を紹介します。
続教育の本質
教育現場に身を置く筆者による提言の続編です。
教育の本質
子どもたちを取り巻く環境は日々変化しています。長らく教育現場に身を置く筆者が教育をテーマに提言しています。
柏戸の真実
鶴岡市櫛引地域出身の大相撲の元横綱・柏戸の土俵人生に迫ります。本人の歩み、努力を温かく見守った家族・親族や関係者の視点も多く交えて振り返ります。
藤沢周平の魅力 海坂かわら版
藤沢周平作品の魅力を研究者などの視点から紹介しています
郷土の先人・先覚
世界あるいは全国で活躍し、各分野で礎を築いた庄内出身の先人・先覚たちを紹介しています
美食同元
旬の食べ物を使った、おいしくて簡単、栄養満点の食事のポイントを学んでいきましょう
庄内海の幸山の幸
庄内の「うまいもの」を関係者のお話などを交えながら解説しています

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field