文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2023年(令和5年) 9月23日(土)付紙面より

ツイート

洋上風力発電は脱炭素の期待だが

 地球温暖化を止める切り札の再生可能エネルギー。中でも柱になるのは洋上風力発電。日本のエネルギー事情から政府も導入に積極的だ。一方、導入に難色を示す動きもある。生態系や環境保護の立場だ。吉村美栄子知事も「推進の立場」を述べる一方、「イヌワシや自然災害発生が心配、地元のさまざまな事情がある」と慎重姿勢だ。

 県内では遊佐町沖の洋上風力発電計画が、経済産業省と国土交通省の事業者の公募に移る「促進区域」に指定される見通しで、酒田港沖もこれに続く。しかし鶴岡市加茂地区の山地への計画、最上地域、置賜地域の風力発電計画は、生態系問題などから反対の声があり、先行きは不透明だ。

◇      ◇

 今年、世界の気温は史上最高を記録、国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代から、地球沸騰化の時代が到来した」と、気候危機対策の強化を各国に警告した。地球の気候がおかしくなったというより“地球の健康”が害されている。先ごろ、米・ニューヨークや東京で脱化石燃料を訴える大規模集会があり、東京では「再エネ100%社会実現」を求めた。

 地球温暖化防止を目指すパリ協定が2015年に採択され、世界各国は脱炭素化に向けて再エネ導入を進めている。原発大国のフランスも洋上風力発電導入にかじを切った。世界の8割は依然として化石燃料に頼っているが、石油の埋蔵量には限りがあり、エネルギーを輸入に頼る日本の状況は厳しい。50年まで温室効果ガス排出実質ゼロを目指す政府は、当面40年までに3000~4500万キロワット、原発30~45基分に相当の再エネ導入を目指す。しかし再エネだけでは達成が厳しく、危険が伴う原発にも目が向けられている。

 一方、県のエネルギー戦略では、再エネを30年度に原発1基分の101・5万キロワットの導入を目指し、そのうち風力発電で45・8万キロワットを賄う。22年度までの導入量は稼働分と計画決定分を合わせて約70万キロワット。今後7年余で目標を達成するにはややハードルの高さも予想される。

◇      ◇

 県内では遊佐沖のほか、酒田商工会議所などが酒田沖の推進を望んでいる。一方、加茂地区での最大7基の計画はラムサール条約登録地の大山上池などに近接し、鶴岡市が事業中止を求め、民間団体も生態系への影響を理由に反対している。米沢市の栗子山で最大10基、尾花沢、最上、舟形にまたがる地域で40基程度の計画も、イヌワシの生息環境への影響を懸念する声が強い。

 自然の中に巨大な風車を建設する。電力は社会活動の維持に必須の「社会的な利益」がある。一方、生態系や景観に影響を与える「環境的損失」にも配慮が求められる。県のエネルギー戦略は積極的に取り組むと同時に、反対意見も尊重しなければならない。導入への懸念材料は少なくない。

画像(JPEG)



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field