2023年(令和5年) 9月24日(日)付紙面より
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酒田市楢橋にある森林公園「悠々の杜」の学習広場に設置され、昨年6月に盗難被害に遭ったカブトムシの鉄製モニュメントが、同市八幡地域の数河ノ池(すごうのいけ)で見つかったことが、モニュメント所有者のNPO法人「ひらた里山の会」(同市、佐藤忠智代表理事)への取材で分かった。会員企業で保管しており今後、修復する方針。被害届を受けた酒田署は引き続き窃盗事件として捜査している。
佐藤代表理事によると、モニュメントは、「子どもたちの情操教育に役立ててほしい」という願いを込め庄内町余目在住の男性が2020年3月に寄贈したもので同下旬、子どもたちが自然に親しむ活動を展開する学習広場に設置した。長さ135センチ、高さ40センチ、幅75センチで重さは10キロ余。当時は樹木間にワイヤを2本張り、地上3メートル付近を飛んでいるような形でつるしていた。
悠々の杜一帯の定期整備活動を行っていた会員が昨年6月、ワイヤが切られ、モニュメントが無くなっているのに気付き寄贈者に報告、現場の状況から盗まれた可能性があるとし同20日に被害届を提出した。
今月17日朝、会員企業の一つ、メカニック(同市砂越)の新楯康(こう)取締役(69)が写真投稿アプリ「インスタグラム」を閲覧していたところ、数河ノ池のほとりに見覚えのあるモニュメントが横たわっているのを発見。「うちのカブトムシだ」と早速、佐藤代表理事と同署に報告し、確認のため現地に出向いた。
「モニュメントは池に沈んでいたようだが、今夏の酷暑・少雨で水位が下がり、姿を現したのだろう」(新楯取締役)と。その日のうちに署員が確認し、悠々の杜のカブトムシモニュメントと分かった。鑑識作業など経て21日に返却。1年3カ月ぶりの「再会」に新楯取締役は「盗難が新聞・テレビで大きく報道され、怖くなって池に捨てたのではないか」と。表面がさびている上、一部に穴が開いていることから今後、同社で修復や塗装など施すことにしている。佐藤代表理事は「まずは戻ってきて良かった。再度設置するかどうかを含め今後については会員と相談し決めたい」と話した。